SNSでは「#投票に行こう」というハッシュタグが2022年参院選を前にして広がっている。低迷する若年層の投票率をあげたい目的もあって各地の選挙管理委員会がネットを活用した広報活動に力を入れている影響のおかげか、SNSでは選挙権を持たない中高生ユーザーも選挙について関心を持っている様子がうかがえる。俳人で著作家の日野百草氏が、未成年者と政治参加について考える。
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「16歳だと、この政治家の書き込みとかリツイートしたらダメなんですよね」
筆者の元教え子の男子生徒、彼はまだ高校生である。書き込みとは政治家の選挙運動メッセージのこと。
「リツイートもダメなんておかしいと思うんですけど」
ダメである。Twitterそのものは13歳以上から使えるので16歳の彼が普段リツイートするには問題ないが、今日は6月22日、第26回参議院選挙の公示日である。周知の通り、この日から投票日前日の7月9日まで選挙運動ができるようになる。しかし彼のような年齢満18歳未満は一切の選挙運動(国政選挙および地方選挙)はできない。
〈未成年者(年齢満18歳未満の者)は、選挙運動をすることができません(公職選挙法第137条の2)。違反した者は、1年以下の禁錮又は30万円以下の罰金に処することとされており(公職選挙法第239条第1項第1号)、選挙権及び被選挙権が停止されます(公職選挙法第252条第1項・第2項)。〉
このように総務省も現行の選挙運動の規制として掲示している。彼の言う政治家は今回の参院選の候補者、まして選挙に関する決意表明なので未成年のリツイートはダメである。以前は満20歳未満が選挙運動の規制対象だったが、選挙権年齢が満18歳に引き下げられたため、それに併せて改正された。
「じゃあ選挙演説とかスマホで撮っても(動画サイトに)上げちゃいけないってことですか」
ダメである。全部ダメである。満18歳未満の未成年者は一切の選挙運動ができない。これは2013年に解禁されたインターネットを使った選挙運動も同様で、公職選挙法第137条の2に規定されている。なんだか学習まんが系の「○○入門」みたいなやりとりになってしまったが内容は重大、軽い気持ちのはずが公職選挙法違反になってしまう。この場合、未成年なので万が一にも選挙運動に当たると摘発されれば保護者が罰せられる可能性もある。
「それでも結構やってますよね、他人がやってるから、とは言いませんけど。未成年で暴れてるっぽい政治垢(政治アカウント)とかありますよ。とくにTwitterなんかカオスじゃないですか」