国内

未成年者の選挙運動が禁じられていることについて改めて考えてみた

2016年の第24回参議院議員選挙で、高校の校内に設けられた期日前投票所で投票をする生徒(時事通信フォト)

2016年の第24回参議院議員選挙で、高校の校内に設けられた期日前投票所で投票をする生徒(時事通信フォト)

 SNSでは「#投票に行こう」というハッシュタグが2022年参院選を前にして広がっている。低迷する若年層の投票率をあげたい目的もあって各地の選挙管理委員会がネットを活用した広報活動に力を入れている影響のおかげか、SNSでは選挙権を持たない中高生ユーザーも選挙について関心を持っている様子がうかがえる。俳人で著作家の日野百草氏が、未成年者と政治参加について考える。

 * * *
「16歳だと、この政治家の書き込みとかリツイートしたらダメなんですよね」

 筆者の元教え子の男子生徒、彼はまだ高校生である。書き込みとは政治家の選挙運動メッセージのこと。

「リツイートもダメなんておかしいと思うんですけど」

 ダメである。Twitterそのものは13歳以上から使えるので16歳の彼が普段リツイートするには問題ないが、今日は6月22日、第26回参議院選挙の公示日である。周知の通り、この日から投票日前日の7月9日まで選挙運動ができるようになる。しかし彼のような年齢満18歳未満は一切の選挙運動(国政選挙および地方選挙)はできない。

〈未成年者(年齢満18歳未満の者)は、選挙運動をすることができません(公職選挙法第137条の2)。違反した者は、1年以下の禁錮又は30万円以下の罰金に処することとされており(公職選挙法第239条第1項第1号)、選挙権及び被選挙権が停止されます(公職選挙法第252条第1項・第2項)。〉

 このように総務省も現行の選挙運動の規制として掲示している。彼の言う政治家は今回の参院選の候補者、まして選挙に関する決意表明なので未成年のリツイートはダメである。以前は満20歳未満が選挙運動の規制対象だったが、選挙権年齢が満18歳に引き下げられたため、それに併せて改正された。

「じゃあ選挙演説とかスマホで撮っても(動画サイトに)上げちゃいけないってことですか」

 ダメである。全部ダメである。満18歳未満の未成年者は一切の選挙運動ができない。これは2013年に解禁されたインターネットを使った選挙運動も同様で、公職選挙法第137条の2に規定されている。なんだか学習まんが系の「○○入門」みたいなやりとりになってしまったが内容は重大、軽い気持ちのはずが公職選挙法違反になってしまう。この場合、未成年なので万が一にも選挙運動に当たると摘発されれば保護者が罰せられる可能性もある。

「それでも結構やってますよね、他人がやってるから、とは言いませんけど。未成年で暴れてるっぽい政治垢(政治アカウント)とかありますよ。とくにTwitterなんかカオスじゃないですか」

関連記事

トピックス

再ブレイクを目指すいしだ壱成
《いしだ壱成・独占インタビュー》ダウンタウン・松本人志の“言葉”に涙を流して決意した「役者」での再起
NEWSポストセブン
名バイプレイヤーとして知られる岸部一徳(時事通信フォト)
《マンションの一室に消えて…》俳優・岸部一徳(77) 妻ではないショートカット女性と“腕組みワインデート”年下妻とは「10年以上の別居生活」
NEWSポストセブン
ラフな格好の窪田正孝と水川あさみ(2024年11月中旬)
【紙袋を代わりに】水川あさみと窪田正孝 「結婚5年」でも「一緒に映画鑑賞」の心地いい距離感
NEWSポストセブン
来春の進路に注目(写真/共同通信社)
悠仁さまの“東大進学”に反対する7000人超の署名を東大総長が“受け取り拒否” 東大は「署名運動について、承知しておりません」とコメント
週刊ポスト
司忍組長も傘下組織組員の「オレオレ詐欺」による使用者責任で訴訟を起こされている(時事通信フォト)
【山口組分裂抗争】神戸山口組・井上邦雄組長の「ボディガード」が電撃引退していた これで初期メンバー13人→3人へ
NEWSポストセブン
『岡田ゆい』名義で活動し脱税していた長嶋未久氏(Instagramより)
《あられもない姿で2億円荒稼ぎ》脱税で刑事告発された40歳女性コスプレイヤーは“過激配信のパイオニア” 大人向けグッズも使って連日配信
NEWSポストセブン
俳優の竹内涼真(左)の妹でタレントのたけうちほのか(右、どちらもHPより)
《竹内涼真の妹》たけうちほのか、バツイチ人気芸人との交際で激減していた「バラエティー出演」“彼氏トークNG”になった切実な理由
NEWSポストセブン
ご公務と日本赤十字社での仕事を両立されている愛子さま(2024年10月、東京・港区。撮影/JMPA)
愛子さまの新側近は外務省から出向した「国連とのパイプ役」 国連が皇室典範改正を勧告したタイミングで起用、不安解消のサポート役への期待
女性セブン
第2次石破内閣でデジタル兼内閣府政務官に就任した岸信千世政務官(時事通信フォト)
《入籍して激怒された》最強の世襲議員・岸信千世氏が「年上のバリキャリ美人妻」と極秘婚で地元後援会が「報告ない」と絶句
NEWSポストセブン
氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン