国会終盤、議員会館の多くの事務所に全国的に有名なブランドとして知られる淡路島産の玉ねぎが段ボール一箱ずつ“お中元”として配られた。気前のいい送り主は、淡路島を選挙区(兵庫9区)に抱える西村康稔・前コロナ担当相。現在は自民党選対委員長代行として参院選の指揮をとる立場だ。自民党で「将来の総裁候補」として売り出し中の政治家である。
西村氏からの淡路玉ねぎは国会の名物とも言われるが、今年は自民党だけではなく、野党である日本維新の会の議員にも配られた。西村氏は政界きっての「贈り物マニア」として知られる。コロナの感染拡大が始まった2020年の土産代は54件・総額約450万円、コロナ前の2019年は約825万円、2018年は約895万円と政治活動費の2割近くを占める。
「国会議員が政治資金で贈答品や土産を配ることが果たして政治活動といえるのか」
公選法や政治資金問題に詳しい上脇博之・神戸学院大学教授(憲法学)も、そう問題提起する。
「西村代議士の政治資金収支報告書では、政治活動費の2割近くが土産代となっている。土産の購入先に選挙区内の業者が多く、年間300万円を使っている。これは違法とはいえないが、選挙区内にお金を出し、回り回って選挙に有利と考えている可能性はあります。玉ねぎの件にしても、地元産品をPRする政治活動だというのであれば、自身のHPで宣伝すればいいのではないか」
そのうえで、資金の出所についてもこう話す。
「西村氏は、国からの政党交付金は政党支部に入れて事務所費など日常経費を賄い、土産代は資金管理団体から支出することで形式的に会計を分けています。
だが、お金に色はついていない。政党助成金を必要経費にあてることで資金に余裕ができて土産を配ったと見れば、事実上、公金で土産を買っているに等しいといえる」(上脇氏)