中国海軍はこのほど3隻目となる航空母艦を進水させたが、2035年までに新たに3隻の空母を実戦配備し、全部で6隻の空母打撃群を展開する計画であることが分かった。中国が空母を主力とする軍事プレゼンスを増強するのは、日米両国による中国への海上封鎖線を突破し、台湾侵攻作戦を成功させることが目的とみられる。カナダの軍事専門誌「漢和ディフェンス・レビュー(漢和防務評論)」(電子版)が報じた。
中国は現在、ウクライナ製の空母を改修した「遼寧」と国産第1号の「山東」の2隻の空母打撃群を展開。すでに、3隻目の空母が上海近郊の長興島の江南造船所で完成・進水しており、「福建」と命名された。福建省からとった名前で、同省と台湾海峡をはさむ台湾を意識して名付けられたとみられる。
中国メディアは1月下旬、「福建」に搭載予定の早期警戒機「空警(KJ)600」のテスト飛行が成功したと報じていることから、福建はテスト航海を経て、2、3年後には就航するとみられる。
KJ600は半径500kmをカバーするレーダー・電子機器を備えており、早期警戒機を搭載していない前2者と比べて、敵探知能力は飛躍的に向上している。
また、「福建」は、艦載機の発艦システムとして「スキージャンプ」式を用いる遼寧、山東とは違い、最新鋭の電磁式カタパルト(射出機)を搭載。満載排水量も前2者の6万から7万トンに比べて8万5千トンと大型化している。また、艦載機も約100機と前2者の2倍程度も増強していることから、台湾防衛のほか、沖縄県尖閣諸島の防衛など日米安保体制堅持への重大な軍事的脅威になることが懸念されている。