石川県・能登半島で立て続けに発生した大地震。珠洲市では6月19日に震度6弱、20日にも震度5強の強い揺れが襲い、それ以降も地震が相次いで発生している。
同地域での地震活動の活発化を事前に指摘していたのが、東海大学海洋研究所客員教授・静岡県立大学グローバル地域センター客員教授の長尾年恭氏だ。長尾氏は『週刊ポスト』5月20日号に掲載した「地下天気図」で、能登半島での地震活動の活発化、とりわけ珠洲市での地表の隆起に言及し警鐘を鳴らしていた。
「この地域では直近1年半で150回以上の群発地震が発生しており、原因は『地下水』だと考えられています。地下深くから地下10~15km地点まで地下水が上昇し、地面を押し上げることで地震活動に繋がっていると推測できます。この傾向は今後も続き、数年以内にマグニチュード7程度の最大規模の地震が発生する可能性もあります」
地下天気図とは、地殻変動の異常を天気図の低気圧・高気圧に見立ててマップ化したもの。長尾氏が独自開発したアルゴリズム(RTM法)を用いて、気象庁が公表する地震の震源データ(一元化カタログ)を解析し、地震活動が「活発化」した地域を赤色、「静穏化」したエリアを青色で示している。
能登半島での地震を受けて長尾氏が最新マップを作成すると、能登半島と同様の「活発化」の異常が新たに2つのエリアで観測された。
1つ目は京都だ。
「京都府亀岡市北東部の山中を中心に群発地震が発生し、M4クラスの小さな地震が増加傾向にあります。京都は『近畿トライアングル』といって数多くの活断層が集中する地域です。直下型地震となるため、能登半島と同じくM5クラスの地震でも震度6を超える強い揺れが生じる可能性が高い」
京都は1596年に慶長伏見地震(推定M7以上)、1830年に京都大地震(M6.5)など、歴史的にも直下型地震で甚大な被害を受けてきた地域だけに、観測された異変に注視したい。