国際情報

駐日ジョージア大使らが振り返る「ロシア・ジョージア戦争とウクライナ侵攻の共通点」

駐日ジョージア大使のティムラズ・レジャバ氏、国際政治学者のダヴィド・ゴギナシュヴィリ氏

駐日ジョージア大使のティムラズ・レジャバ氏(右)と国際政治学者のダヴィド・ゴギナシュヴィリ氏

 駐日ジョージア大使のティムラズ・レジャバ氏、国際政治学者のダヴィド・ゴギナシュヴィリ氏が、6月29日発売の『Maybe!』(vol.13)「ビッグラブ」特集内の「愛で戦争を止めたい」に登場した。ともに1980年代にジョージアの首都トビリシに生まれ、2008年にロシアによるジョージアへの侵攻を経験した。「5日間戦争」と呼ばれた当時の侵攻の状況を振り返るとともに、現在起きている、ウクライナ侵攻について見解を語った。

ダヴィド氏:2008年のロシア・ジョージア戦争は、いまのウクライナ侵攻ほど注目を浴びませんでしたが、戦争自体の展開は非常に似ていました。戦争勃発前からミサイルが飛んできたり、ジョージア北部のいわゆる「南オセチア」(ジョージア北部のロシアが占拠する地域)で民間人がスナイパーに射殺されたりしました。2008年4月にNATOのサミットでジョージアは「NATOに加盟してもいい」というような宣言が出されたのですが、そこからロシア側の戦闘準備が加速して、7月には国境沿いでロシア軍が軍事演習を始めた。これもウクライナと同じですね。挑発的な攻撃に対してジョージアが反撃したら、大規模な戦争に発展したわけです。

レジャバ大使:ロシアにとっては、あの侵攻って実験みたいなものだったんですよ。どこまで攻撃したら国際世論が反応をするのか試していた。そして実際にいわゆる「南オセチア」を占領して、「これくらいなら大して非難もされずにクリーンに上がれるだろう」と思わせる成功体験を与えてしまったんじゃないかなと思いますね。実際ジョージアでの戦争は5日間で終わりましたし。「だったら別の所でも頑張ろう」というのがロシアの思いになったのではないかと。

ダヴィド氏:当時、国際社会が断固としてロシアを非難し、適切な処置をとっていたら、ロシアはウクライナを侵略する気にならなかったと思いますよ。

レジャバ大使:(プーチン大統領は)ウクライナを「非ナチ化している」と発言されていますから、良いことをしているつもりなんでしょうね。民間人を殺してもなんとも思っていないんじゃないですか。しかし、それは皮肉の他なんでもない上に、この無惨な行動は忘れられることはないでしょう。

【Profile】
ティムラズ・レジャバ
外交官。駐日ジョージア大使。1988年ジョージアの首都トビリシ生まれ。1992年に日本へ移住して以来、大学卒業までジョージア、日本、アメリカ、カナダで教育を受ける。早稲田大学卒業後、キッコーマン入社を経て2019年8月から現職。

ダヴィド・ゴギナシュヴィリ
国際政治学者。1983年トビリシ生まれ。駐日ジョージア大使館専門分析員、慶應義塾大学SFC研究所上席所員を務める。

(C)南阿沙美/Maybe!

関連記事

トピックス

現在はアメリカで生活する元皇族の小室眞子さん(時事通信フォト)
《ゆったりすぎコートで話題》小室眞子さんに「マタニティコーデ?」との声 アメリカでの出産事情と“かかるお金”、そして“産後ケア”は…
NEWSポストセブン
逮捕された元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告(過去の公式サイトより)
「同僚に薬物混入」で逮捕・起訴された琉球放送の元女性アナウンサー、公式ブログで綴っていた“ポエム”の内容
週刊ポスト
まさに土俵際(写真/JMPA)
「退職報道」の裏で元・白鵬を悩ませる資金繰り難 タニマチは離れ、日本橋の一等地150坪も塩漬け状態で「固定資産税と金利を払い続けることに」
週刊ポスト
精力的な音楽活動を続けているASKA(時事通信フォト)
ASKAが10年ぶりにNHK「世界的音楽番組」に出演決定 局内では“慎重論”も、制作は「紅白目玉」としてオファー
NEWSポストセブン
2022年、公安部時代の増田美希子氏。(共同)
「警察庁で目を惹く華やかな “えんじ色ワンピ”で執務」増田美希子警視長(47)の知人らが証言する“本当の評判”と“高校時代ハイスペの萌芽”《福井県警本部長に内定》
NEWSポストセブン
ショーンK氏
《信頼関係があったメディアにも全部手のひらを返されて》ショーンKとの一問一答「もっとメディアに出たいと思ったことは一度もない」「僕はサンドバック状態ですから」
NEWSポストセブン
悠仁さまが大学内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿されている事態に(撮影/JMPA)
筑波大学に進学された悠仁さま、構内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿「皇室制度の根幹を揺るがす事態に発展しかねない」の指摘も
女性セブン
奈良公園と観光客が戯れる様子を投稿したショート動画が物議に(TikTokより、現在は削除ずみ)
《シカに目がいかない》奈良公園で女性観光客がしゃがむ姿などをアップ…投稿内容に物議「露出系とは違う」「無断公開では」
NEWSポストセブン
長女が誕生した大谷と真美子さん(アフロ)
《大谷翔平に長女が誕生》真美子さん「出産目前」に1人で訪れた場所 「ゆったり服」で大谷の白ポルシェに乗って
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン
第一子出産に向け準備を進める真美子さん
【ベビー誕生の大谷翔平・真美子さんに大きな試練】出産後のドジャースは遠征だらけ「真美子さんが孤独を感じ、すれ違いになる懸念」指摘する声
女性セブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン