夜、睡眠中に排尿のために起きてしまう「夜間頻尿」は、中途覚醒による睡眠障害や抑うつとも深い関連があることで知られている。さらに2021年に発表された金沢大学の研究者らの論文では、夜間頻尿が“性欲低下”に繋がることが明らかになった。同研究に携わった重原氏が語る。
「2009~2015年に、金沢大学附属病院の男性性腺機能専門外来を受診した平均年齢66歳の男性患者292人を対象に性欲と夜間頻尿の相関について調査を行ないました。その結果、夜間頻尿がある人はそうでない人と比べて、性欲低下リスクが2.3倍高く、また夜間の排尿回数が多い人ほど性欲低下も重度でした。
男性ホルモンのテストステロンは主に睡眠中に作られる。これが夜間頻尿によって妨げられることが、性欲低下の一因だと考えられます」
夜間頻尿を防ぐためにはどうすればよいか。重原氏は、夜間頻尿のタイプによって対策が分かれるという。
「前立腺肥大症などの泌尿器の病気に付随する場合は投薬治療で改善が望めます。次に睡眠障害によって目覚める回数が多くて、ついつい気になってトイレに行ってしまう人は、睡眠薬の内服やよく寝られる環境を整えることが重要です。
夜間多尿が原因の人は、1日の尿量を自分で測ってみましょう。もし夜の尿量が1日の総量の30%を超えているなら、水分を摂る量の調節が必要になります」
※週刊ポスト2022年7月8・15日号