岸田首相が警戒するのが解散戦略に失敗した菅氏の二の舞いになることだ。菅氏は衆院の任期満了まで残り1年で首相に就くと、「早期解散」を否定して携帯料金引き下げなど政権の実績づくりを優先した。
しかし、コロナ対応で支持率が大きく下がり、衆院の任期満了が残り1か月に迫った時期の総裁選で、落選を恐れて浮き足だった自民党議員から「菅首相では選挙を戦えない」と総理の座から引きずり下ろされた。
岸田内閣もこの先、物価高騰やエネルギー危機で国民生活が苦しくなれば、いつ、菅内閣のように国民の不満が政権に向けられてもおかしくない。
岸田首相が参院選を乗り切り、「黄金の3年」に胡座をかいて総選挙を先送りすれば、“岸田総理では選挙を戦えない”と総裁選で再選が危うくなる可能性は十分ある。
「昨年の総裁選で菅降ろしの先頭に立った岸田総理は、衆院の任期満了が近づく中での総裁選の怖さを肌身で感じているから、菅さんの轍は踏まないと心に誓っている。目指すは早期解散で勝負に出た安倍さんの道です」(前出の官邸関係者)
総裁選前の「早期解散」なら、選択肢は限られる。政治ジャーナリストの藤本順一氏は「年内解散はあり得る」と指摘する。
「勝ちを取りにいく解散には3つの条件がある。支持率が高いうち、野党の準備が整わないうち、集票マシンの公明党がNOと言わないタイミング。順当に考えれば、統一地方選後の来年秋ですが、衆院の定数是正に伴う選挙区割り変更を考えると、年内解散のウルトラCも選択肢になる」
※週刊ポスト2022年7月22日号