国内

KDDI大規模通信障害 なぜ「auがんばれ」というツイートが多く流れたのか

電話がつながらないauのスマートフォン。2022年7月4日午後、東京都中央区(時事通信フォト)

電話がつながらないauのスマートフォン。2022年7月4日午後、東京都中央区(時事通信フォト)

 当たり前に利用しているものが突然、使えなくなったとき、人々は驚き怒り、大混乱するのではないかと思っていた。完全復旧まで3日半かかったKDDIの大規模な通信障害によってauの携帯通話とデータ通信ができなくなったとき、ショップで怒鳴り散らす人の様子がSNSですぐ拡散されたが、実際のユーザーたちはどう向き合っていたのか。俳人で著作家の日野百草氏が、auユーザーの声なき声を聞いた。

 * * *
「これからもauにしようと思います」

 筆者にとって驚くべき声だった。7月2日の未明から続いたKDDIのau携帯電話サービス(UQ mobile含む、以下au)の大規模通信障害は、auおよびau系ユーザーのスマートフォン(以下、スマホ)が通じないと大混乱に陥った。各地でつながらない、仕事にならない、緊急連絡もできない状態が2日間、断続的にはそれ以上続く事態となった。さっそく筆者も思い当たるauユーザーの知り合いかつPCで連絡のとれる方々をヒアリングしたが、その中で出てきたauユーザーでもある50代のDTPデザイナーの言葉にはっとさせられた。

「だって、あの社長の会見を見たら信用できるでしょう、ネット民もそんな感じですよ」

 テレビ報道ではauショップの行列や不満の声、ときに怒号などがクローズアップされていたが、確かにSNSを中心に「auがんばれ」「auありがとう」のツイートも多く流れていた。

「どこだって問題は起きるわけですから、起きたからって変えてもしょうがないでしょう」

 確かに、ソフトバンクは2018年に、NTTドコモは2021年に大規模な通信障害を起こしている。楽天モバイルもこれほど大規模でないにせよ立て続けに通信障害を繰り返している。国内でおよそ2億件とされる携帯電話契約数(総務省・2021年9月末時点)を人間が毎日処理していることを考えればヒューマンエラーは当然起こりうる。起こしてはならないことは百も承知だが起きてしまう。『きかんしゃトーマス』の歌「じこはおこるさ」(Accidents Will Happen)ではないが「事故は起きるもの」なのは仕方がない。

「そんなことはまともな社会人ならみんな知ってますからね。自分だってそうです。でも(auの)社長は技術屋出身だから全部理解した上で説明していたでしょう、誰かの書いた紙じゃなく、起きていることと、なぜそうなったか、それでもわからないということを正直丁寧に説明していました。私は感心しました」

関連キーワード

関連記事

トピックス

『激レアさんを連れてきた。』に出演するオードリー・若林正恭と弘中綾香アナウンサー
「絶対にネタ切れしない」「地上波に流せない人もいる」『激レアさんを連れてきた。』演出・舟橋政宏が明かす「番組を面白くする“唯一の心構え”」【連載・てれびのスキマ「テレビの冒険者たち」】
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平が帰宅直後にSNS投稿》真美子さんが「ゆったりニットの部屋着」に込めた“こだわり”と、義母のサポートを受ける“三世代子育て”の居心地
NEWSポストセブン
現場には規制線がはられ、物々しい雰囲気だった
《中野区・刃物切りつけ》「ウワーーーーー!!」「殺される、許して!」“ヒゲ面の上裸男”が女性に馬乗りで……近隣住民が目撃した“恐怖の一幕”
NEWSポストセブン
シンガポールの元人気俳優が性被害を与えたとして逮捕された(Instagram/画像はイメージです)
避妊具拒否、ビール持参で、体調不良の15歳少女を襲った…シンガポール元トップ俳優(35)に実刑判決、母親は「初めての相手は、本当に彼女を愛してくれる人であるべきだった」
NEWSポストセブン
「ミスタープロ野球」として広く国民に親しまれた長嶋茂雄さん(時事通信フォト)
《“ミスター”長嶋茂雄さん逝去》次女・三奈が小走りで…看病で見せていた“父娘の絆”「楽しそうにしている父を見るのが私はすごくうれしくて」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ犯から殺人犯に》「生きてたら、こっちの主張もせんと」八田與一容疑者の祖父が明かしていた”事件当日の様子”「コロナ後遺症でうまく動けず…」
NEWSポストセブン
「グラディアトル法律事務所」の代表弁護士・若林翔氏
【改正風営法、施行へ】ホストクラブ、キャバクラなどナイトビジネス経営者に衝撃 新宿に拠点を持つ「歌舞伎町弁護士」が「風俗営業」のポイントを解説
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
「本人にとって大事な時期だから…」中居正広氏の実兄が明かした“愛する弟との現在のやりとり”《フジテレビ問題で反撃》
NEWSポストセブン
長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督からのメッセージ(時事通信フォト)
《長嶋茂雄さんが89歳で逝去》20年に及んだ壮絶リハビリ生活、亡き妻との出会いの場で聖火ランナーを務め「最高の人生」に
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
「兄として、あれが本当にあったことだとは思えない」中居正広氏の“捨て身の反撃”に実兄が抱く「想い」と、“雲隠れ状態”の中居氏を繋ぐ「家族の絆」
NEWSポストセブン
今年3月、日本支社を設立していたカニエ・ウェスト(時事通信フォト)
《カニエ・ウェストが日本支社を設立していた》妻の“ほぼ丸出し”スペイン観光に地元住人が恐怖…来日時に“ギリギリ”を攻める可能性
NEWSポストセブン
現在、闘病中の西川史子(写真は2009年)
《「ありがとう」を最後に途絶えたLINE》脳出血でリハビリ中の西川史子、クリニックの同僚が明かした当時の様子「以前のような感じでは…」前を向く静かな暮らし
NEWSポストセブン