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SNSで呟かれる「またホストか」 無理する客を作り上げる歪んだ接客術

背景にみえる看板は、ホストクラブのものばかり。2020年7月、新宿区職員らが歌舞伎町の飲食店に新型コロナウイルス対策を呼び掛ける(イメージ、時事通信フォト)

背景にみえる看板は、ホストクラブのものばかり。2020年7月、新宿区職員らが歌舞伎町の飲食店に新型コロナウイルス対策を呼び掛ける(イメージ、時事通信フォト)

 若い女性が被害者となる事件が起きたあと、まるで判で押したような被害女性の嗜好が続報され、SNSでは「またホスト絡みか」と言われることが続いている。「ホストにはまる」女性は、接客業であるホストの顧客、お得意様なわけだが、彼女たちが何らかの犯罪に巻き込まれるケースが多いのは偶然なのか。ライターの森鷹久氏が、元ホストから接客の変質と、危うさについて聞いた。

 * * *
 森田優さん(仮名・50代)は、かつて東京・歌舞伎町で複数のホストクラブを経営し、現在は飲食店や中古車販売店を運営する実業家だ。森田さんがホストとして現役だった頃は、同じく歌舞伎町にあった老舗ホストクラブ「愛」がメディアにたびたび取り上げられ、知る人ぞ知る存在だった「ホスト」の存在が、店を利用したことがない人たちにも知られるようになったころだ。その当時、歌舞伎町には多く見積もっても数十件のホストクラブしかなかったという。それは、やはり主な利用者である女性客の絶対数が少なかったことが大きい。

「当時から、裕福な女性経営者、女性芸能人などのお金持ちの女性客は『太客』と呼ばれていて、その少ない太客をホストたちが取り合いました。太客をライバルに横取りされ、傷害事件に発展するなんてこともあった。当時『お金持ちの女性』という存在がクローズアップされ始めていたとはいっても結局、ホステスに比べれば顧客の絶対数が少ないホストはニッチ産業であり、市場規模も大きいとは言えなかったんです」(森田さん)

 この風潮が明らかに変わったのは、2000年ごろだったのではないかと森田さんは振り返る。浅黒い肌に金髪メッシュ、盛り上げた長髪スタイルという、いわゆる「ホスト風」と呼ばれた見た目の若い男性が増えたころだ。いわゆる「ギャル男」とも似ているが「女性相手に水商売をする」という存在は面白おかしく、そして肯定的に捉えられた。メディアにも、彼ら新世代のホストが登場する機会が増え、一部の売れっ子ホストたちはバラエティ番組や情報番組にも引っ張りだこ。知る人ぞ知る職業だったホストやホストクラブの存在が世間に知られるようになり、全国的に増加、特に新宿歌舞伎町では爆発的に増えた。

 それまでは、ある意味で「敷居が高かった」ホストクラブも、前述したような経緯を経て、それまでよりカジュアルな遊び場のひとつとなり、より幅広い層の女性が訪れる場所となった。だが、日本の賃金が30年間上昇していないのに女性の可処分所得が右肩上がりに増えるわけもなく、限定的な現象だったとも言える。だが、ホストクラブも営業を続けるには拡大を目指したいし、店舗数が増えれば競争も激しい。そこで登場したのが「女は存在だけで金になる」と考える、不埒なホストたちだったと森田さんは言う。

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