6月から外国人観光客の受け入れが開始され、コロナ禍で止まっていた観光業界の時計の針がいよいよ動き出した。
それに合わせるかのように話題になったのが、世界経済フォーラムの『観光魅力度ランキング』で日本が初の世界一に輝いたとのニュースだ。
この意味合いについて航空・旅行アナリストの鳥海高太朗さんはこう語る。
「これはコロナ禍に関係なく、日本が旅行に行って楽しく、個人旅行がしやすい国と評価されたわけで、もちろん朗報といっていいでしょう。
日本は治安がよく、観光スポットがしっかりあり、そこに行く交通アクセスのよさにもともと定評がありました。
加えて今回は、2018年頃から急速に増えた多言語表記や、2021年の東京オリンピック・パラリンピック開催で充実した道路標識への英語表記やピクトグラムの追加、さらに外国人から不満の多かった地下鉄・JRへの乗りにくさをIC乗車券の登場が解消した点、携帯電話のつながりやすさ、LCC(格安航空会社)の充実、SDGsへの取り組みなどすべてが総合的に評価され、総合1位を獲得したのです」(鳥海さん)
日本の強みを維持しつつ、東京五輪やITの発達で従来の弱点が解消されたわけだ。
「そんななかでも、『サステナブル観光(旅行と観光関連の持続可能性)』の領域が新設され、北欧各国が上位を占めるなか、日本が11位と高い評価を受けた点は注目です」
そう話すのはJTB総合研究所の牧野博明さんだ。
サステナブル観光とは、地域住民の生活環境などを守りつつ観光客の満足度も高く、観光ビジネスとしても成り立つよう、皆で観光地の本来の姿を守るための取り組みを続けることを指す。