日本では、まだ食べられるのに廃棄される食品は年間522万トンにも及ぶ。その「食品ロス」を減らすために消費期限や賞味期限を延長させる動きが活発になっている。昨年10月、大手コンビニチェーンはサラダの消費期限を1日延ばしたと発表。それに先立つ昨年3月、別の大手コンビニチェーンが、おにぎりの消費期限の期間を2倍にし、店頭販売できる時間を約18時間から1日半~2日程度に延ばした。
食品延命のための技術を進歩させ、鮮度を保つことに心を砕くところがある一方、意識の低い事業者も存在する。食品期限を業者が決められることを逆手に取り、それを自分たちの手で自由自在にコントロールするスーパーもあるという。消費者問題研究所代表で、食品問題に詳しい垣田達哉さんが言う。
「売れ残りを詰め替え、消費期限を延ばして売る『リパック』は明らかな違反。ですが、生鮮食品を総菜に変えれば、合法的に期限を延ばすことができます。例えば、今日が消費期限である売れ残った豚肉を揚げて、とんカツにしたり、焼いてステーキにしてしまえば、新しく消費期限をつけられるのです。スーパーがよくやる手法です」(垣田さん)
そういったモラルの低いスーパーを見分けるには、卵売り場をチェックするといい。食品ジャーナリストの郡司和夫さんが言う。
「卵が常温で陳列されているのか冷蔵ケースで売られているかは注意が必要。卵で心配なのはサルモネラ菌による食中毒なのです」(郡司さん・以下同)
日本卵業協会によると卵の賞味期限は、夏期で産卵後16日以内、春秋期で25日以内、冬期で57日以内とされている。実情はパック事業者と量販店などの話し合いで、年間を通して賞味期限を14日程度としている所が多いという。
「この猛暑の中、卵を直射日光が当たったり高温になりやすい場所で陳列している店は、意識が低い。サルモネラ菌の発育至適温度は37℃くらいとされ、卵は賞味期限より、温度に注意が必要です」
いまや技術の日進月歩で保存期限が延びているのは事実。消費期限が長いからといって、薬品や添加物の大量使用に必ずしも疑心暗鬼になる必要はない。期限が延びている理由は千差万別だという事実を知ったうえで、何を手にとるのかの目を養いたい。
※女性セブン2022年7月21日号