ようやく落ち着いたかに見えた新型コロナウイルスが再び猛威を振るい始め、各地で“第7波”への警戒が強まっている。
終わりの見えないコロナ禍で、私たちのライフスタイルは一変した。すっかり市民権を得たテレワークや玄関を出る前に必ずつけるマスク、パーティション越しにする会話……。
なかでも大きく変貌したのは医療を取り巻く環境だ。家にいながら医師と会話し、薬の処方を受けられる「オンライン診療」が発達した半面、多くの人が病床逼迫や感染防止の観点から「受診控え」を選択していることも事実だ。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが話す。
「特に医療関係者たちが危惧しているのは『検診自粛』です。コロナ禍のために、わかりやすい症状がある人の受診や治療はまだしも、自覚症状がない人の健康診断などの定期健診は、かなり多くの人が控えていたと考えられます。そのため今後、がんなどの病気が従来よりも遅れて見つかる可能性は大いにある。これは日本だけでなく世界的な傾向であり、欧米でも懸念の声が上がっています」
医療メーカーの調査(2020年10月)によれば、過去3年間に毎年がん検診を受診した経験のある人であっても4人に1人は「2021年度は検診を控えたい」と回答したという。ときわ会常磐病院の乳腺外科医、尾崎章彦さんが言う。
「実際に医療現場においてもコロナで検診へのハードルが上がったと話す患者は多い。それに加え、ステイホームをきっかけに自身の受けてきた医療を見直す人も増えており、検診・検査においても精度や安全性が高く効果のあるメニューを、賢く効率的に選んで受けたいという需要を感じます」
東海大学名誉教授で医学データ解析に詳しい大櫛陽一さんも声を揃える。
「そもそも学校や職場などで行われる健診は病気を早期発見し、速やかに治療するために受けるもの。ところが日本では、明らかに無駄な項目があるばかりか、かえって体に悪影響を及ぼす検査もある。しっかり内容と意味を確認し、取捨選択することが必要です」
血液検査の中で見るべき数値
尾崎さんがまずすすめるのは、血液検査だ。
「ステイホームで生活習慣が乱れ、糖尿病をはじめとした生活習慣病リスクが無意識のうちに上がっている人が多い。この3年で数値が大きく変わっている可能性は大いにあるため、しばらく血液検査を受けていない人は必須です」
結果票で特に注目すべき数値を大櫛さんが指摘する。
「血液検査で確認すべき項目は3つ。1つ目は『空腹時血糖値』または『ヘモグロビンA1c%』。いずれも糖尿病の前兆を知ることができ、早期に生活習慣の改善や治療を開始することができます。2つ目の『赤血球数』または『ヘモグロビン値』は貧血の指標であり子宮筋腫や大腸がんの早期発見につながる。最後は、肝機能の状態を示す『γ-GTP』。近年、女性にも増えている飲酒などによる肝障害を早期に発見できます」
採血をするだけで、多岐にわたる病気の早期発見につながるうえ、体に負担もかからない。コスパの面からも、受けるのは必須だろう。
※女性セブン2022年7月28日号