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【銃撃事件】1日1万本以上の献花を売り続けた生花店店主「花が心の痛みを癒せるのなら」

「献花用」という緊急の値札も用意された

「献花用」という緊急の値札も用意された

 安倍晋三・元首相が参院選の応援演説中に凶弾に倒れてから6日。近鉄大和西大寺駅前の事件現場近くに設けられた献花台には、7月14日現在も、朝から途切れることなく献花に訪れる人の列ができている。

 思いが詰まった花の多くは、現場となった大和西大寺駅の構内にある生花店「karendo 西大寺駅店」で、献花に訪れた人々が購入したものだった。事件当日から3日間、花を買いに来る客の列は途切れることがなかったという。激動の日々を、同店の店主が振り返る。

「事件発生の瞬間、駅構内の売り場までは銃声は聞こえず、ニュースの速報で安倍さんが撃たれたんだと知りました。直後の売り場は特に変わらない日常の風景のままだったのですが、13時ごろ一度店を離れて現場に向かうと、そこは全くの別世界で。事件を見て気分が悪くなった人を運ぶ救急車が何台も駅前に並んでいて、何人かの人が青ざめた顔で歩道に座り込んでいた。『本当にここで起きたんだ』と急に実感がこみ上げました」(「karendo 西大寺駅店」店主、以下同)

 事件当日の7月8日は店主の通常の人員体制だったという。店頭に変化が起きたのは、訃報が報じられた17時過ぎのことだった。

「17時半ごろ、30代くらいの男性のお客様が『献花用の白い花はありますか』と沈痛な面持ちで花を買っていかれた。お恥ずかしい話ですが、それまでは事件の衝撃もあって『お客様がうちに献花を買いに来る』という事態を全く想定できていなかったんです。それが19時過ぎになると一気にお客様が押しよせて、とてもオペが回らずすぐに20人ほどの列ができてしまいました。

 様子を見た同じ駅構内の八百屋さんの従業員さんが手伝いに来てくださり、無心で作業を続けましたが、行列がなくなることはなかった。通常21時半閉店ですが、22時過ぎまでお客様はいらっしゃって、花を抱きしめ涙を流す人もいた。営業が終わったあとすぐに本社に連絡し、明日以降は急遽シフトを組み替えて全社の人間をここに集結させることになりました」

 土日の9日と10日は、献花台に一時500メートルの列ができるほどの人で溢れた。「karendo」の店頭にも、30~40分待ちの列が途切れることはなかったという。

「他店舗から取り寄せたものではとても足りず、急遽、社長が産地や市場からお花を集め、駅近くの倉庫で献花の形に整え、それを店頭に運ぶ作業を何十回も繰り返しました。この2日間、献花を買いにいらっしゃったお客さんは合計4000人、お花は2万本以上売れました。正直、忙しすぎて記憶がほとんどありません」

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