史上最速でマジックが点灯したヤクルトが新型コロナの直撃を受けた。二軍調整中の石山泰稚らの感染が判明すると、一軍でも山田哲人らがPCR検査で陽性に。さらに高津臣吾監督や青木宣親、中村悠平ら主力を含めて陽性者が27人まで広がり、9日と10日の阪神戦は中止に追い込まれた。
「中継ぎ陣が全滅に近いので二軍から何人も引き上げざるをえず、東大出身の宮台康平も一軍に抜擢された。打線も4番の村上宗隆こそ残ったが、チームの今後は二軍から上がった選手の活躍次第だ」(スポーツ紙デスク)
新型コロナ対策として、NPBは週に一度の定期検査を実施してきた。6月の12球団代表者会議で2週間に一度に変更されたが、体調不良者が出ればすぐに検査し、陽性ならチーム内で緊急スクリーニング検査を行なう。無症状でも定期検査から感染が見つかり、緊急検査でさらに陽性者が増える厳しい検査体制だ。
ヤクルト戦の解説も多く務める辛口評論家・江本孟紀氏は、「ちょっとPCRをやり過ぎではないか」と話す。
「選手らにはマスコミや評論家も寄せつけず、隔離状態で開催しているが、それでも感染者が出る。しかも多くは無症状。それだけやって防げないんだから、どういう基準が適切か球界が独自に考えればいいのに、いつまでもアホみたいにマスクをして……。(検査を)厳しくしているのは、世間体でしょう。管理者が叩かれたくないだけ。その人たちの責任を問うつもりはないが、いつもはメジャーを褒めそやすくせに、こういう時はメジャーを見習わないんだから」
試合が中止になったことも疑問だという。
「仮にチーム内で集団食中毒が出たら、残った選手で戦わざるを得ない。それと何がどこまで違うのか。1チームに70人もいるんだから、試合をやろうと思えばできる。一軍と二軍で試合をして二軍が勝つこともある。それはそれで面白いでしょう。そういうのも含めてのペナントレースだと思いますけどね」(江本氏)
コロナに翻弄されるシーズンも3年目。どういう態勢が適切か、議論の余地は大きそうだ。
※週刊ポスト2022年7月29日号