中国で初めて艦載機を発進させるための「電磁カタパルトシステム」を搭載した空母「福建」が6月、進水した。これまでの2隻の空母「遼寧」と「山東」は艦載機発進の際、スキーのジャンプ台のように反り上がった甲板を使っていたが、原子力空母ではない福建は膨大な電力を消費する電磁カタパルトシステムを搭載していることで、戦闘態勢に入った際、短時間で「ガス欠」状態になることが懸念されている。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
電磁カタパルトシステムの空母はスキージャンプ方式の空母より多くの艦載機を搭載可能で、艦載機の暖気時間が短いため発進も速やかに行えるなど、艦載機の離発着回数を増やせるメリットがある。
その一方で、電磁カタパルトを稼働することにより膨大な電力を消費することが難点とされ、福建は原子力空母ではないことから、補給なしの航続距離が限られることになる。
福建よりも前に、電磁式カタパルトを採用しているのは米国の「ジェラルド・R・フォード(GRF)」だけだが、GRFは米国にとって約40年ぶりの就役となる最新鋭空母であり、2017年7月にGRFの就役式に臨んだ当時のトランプ米大統領が「世界に向けた10万トン級のメッセージだ」と述べたほどの巨艦であり、ニミッツ級空母の3倍の発電力を誇る原子炉を搭載。この巨大な発電能力により、GRFは新たなテクノロジーを搭載することが可能となった。
その最たる装備がこの発電能力を活用した電磁式カタパルトであり、より重い艦載機を射出できるのみならず、負荷も小さく、機体の摩耗や劣化を抑えることができる。
ところが、福建の場合、その動力はディーゼルエンジンであることから、GRFに比べると、その発電能力は格段に落ちることが予想される。さらに、福建は航行用の電力を発生させるために3基のディーゼルエンジンを搭載しているほか、電磁カタパルトを使用するために、さらにもう2基のディーゼルエンジンを積んでいるため、航行スピードが落ちる。
このため、福建は、実際の戦闘では、戦闘機やミサイルによる攻撃の格好の餌食になることが考えられるなど、「張り子の空母」となる可能性も否定できないとの見方が出ている。