ヤクルトが首位を独走するセ・リーグとは対照的に、パ・リーグは1位のソフトバンクから5位のオリックスが4.5ゲーム差でひしめく大混戦になっている。その中で大失速したのが楽天だ。春先は首位を独走し、5月10日終了時点で24勝6敗。貯金18まで増やしたが、その後は16勝32敗と大きく負け越し。貯金1まですり減った(7月15日終了時点、以下同)。
7月に入っても上昇気流に乗る気配が見られず、2勝7敗で目下5連敗中。なぜ、ここまで落ち込んだのだろうか。スポーツ紙記者は、こう指摘する。
「大きな要因は貧打です。長打を打てる打者が少ない。たまに打線が勢いに乗って爆発しますが、接戦で1点を取る能力が低い。塁上をにぎわすけどあと一本が出ない。ベンチも機動力や小技をあまり仕掛けないので、相手からすれば怖さがない。この戦いが続くようだと借金生活に転落する可能性があります」
投打の顔ぶれを見ると、巨人以上の「タレント集団」だ。投手陣は「黄金の先発ローテーション」と形容される陣容で、田中将大、則本昂大、岸孝之、早川隆久、故障で戦列を離れているが涌井秀章が控えている。野手陣もFAで他球団との争奪戦を制して獲得した浅村栄斗、鈴木大地に加えて炭谷銀仁朗、西川遥輝、昨季打点王の島内宏明ら実績十分の選手たちがそろっている。
だが、個々の選手の働きぶりを見ると期待通りの活躍をしているとは言えない。エース田中将は5月17日のロッテ戦から日米通じて自己ワーストタイの6連敗。打線の援護に恵まれない登板が続いたが、6月17日のソフトバンク戦では5回までに4被弾で7失点。マウンドで茫然とした表情を浮かべていた。7月2日にリフレッシュの意味も含めて登録抹消された。
浅村は得点圏で勝負強い打撃が光るが、鈴木大は打撃の調子が上がらずスタメンを外れることも。日本ハムを退団して加入した西川も3、4月は打率.333、5本塁打、21打点と打線を牽引したが、5月以降は月間打率1割台が3カ月続いている。自慢の俊足でリーグ3位の16盗塁をマークしているが、盗塁成功率69.6%と決して高い数字とはいえない。現状ではリードオフマンとして合格点はつけられないだろう。
新外国人も稼働していない。マルモレホスは打率.207、6本塁打と状態が上がらず、6月10日にファーム降格。右の長距離砲と期待されたギッテンスは来日デビュー戦となった4月5日の西武戦で、空振りした際に左手首を骨折。7月6日にファームで実戦復帰したが、1週間も経たずに再び戦線離脱したことがスポーツ紙で報じられた。