コロナ感染者がまた増えている。コラムニストの石原壮一郎氏もその名を連ねることになった。隔離生活を振り返る。
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「あっ、陽性ですね」
クリニックの先生の“告知”は、とっても明るい口調でした。鼻の奥の奥に長い綿棒を突っ込んで、5分ぐらいで抗体検査の結果が出ます。「PCRの結果は明日の午前中に出ますけど、まあ陽性でしょう。ご自宅で気をつけてお過ごしください」ということで、そのまま「自宅療養」に突入。家族と離れて仕事場で過ごすことにしました。
喉がいがらっぽいなと感じて、ちょっと熱も出てきたのが月曜日。普段の風邪の症状だし、火曜日はずいぶん回復したので「まあ大丈夫だろう」とタカをくくっていました(完全に何たらバイアスですね)。そしたら水曜日になって、日曜日にいっしょに飲んだ4人のひとりから「陽性だった」という連絡が。「うーん、そうか。じゃあ自分も当たりだな」と覚悟しつつ、すぐに検査をしてくれる近所のクリニックを探してやってきた次第です。
結局、日曜日に飲んだ4人の同年代の友人のうち、3人が感染していました(ひとりは陰性)。私は月曜日に症状が出たので、もしかしたら土曜ぐらいにはすでにどこかで感染していて、日曜日の飲み会に持ち込んでしまったのかもしれません。だとしたら申し訳ない限りです。ただ、それ以外の可能性も無数に考えられます。
みなさん大人なので、誰も「感染ルート」を探ろうとはしません。参加者で急きょ作ったLINEグループには、あえて軽い口調に乗せての「こんな症状が出た」「自分も陽性だった」といった報告や、無事だったひとりの強靭っぷりを称える声が飛びかいます。ふと、自分が大昔に書いた本のタイトルを思い出しました。これぞ「大人陽性講座」。
イキってガラケーを使い続けていたら思いがけない試練が
PCR検査でも陽性と判定され、正式に「感染者」となったのが木曜日。この日の東京都の陽性者は8529人。数日前から急速に増加していて、その波にまんまと乗ってしまいました。朝から携帯電話に、厚生労働省や池袋保健所から大量のショートメールが届きます。
じつは今だに「やっぱり話しやすいのはこっちだろ」とイキりつつ、ガラケーを使い続けています。インターネットやSNS用に格安スマホも持っているんですけど、検査してもらった病院のカルテにはガラケーの番号を書いていました。
そのおかげで思わぬ試練に見舞われることに……。池袋保健所から届いたショートメールには、厚生労働省の「My HER-SYS(新型コロナ健康状態入力フォーム)」のURLが何通にも分かれてブツ切りで書かれています。きっとスマホなら、クリック一発で難なくページに到達できるんですよね。