自覚症状のない病気を早期に発見するために受ける検査や検診。どういった内容の検査を受けるのかが重要だというのは言うまでもないが、受診する医療機関や施設の選び方も重要だ。東海大学名誉教授で医学データ解析に詳しい大櫛陽一さんが言う。
「スタッフが複数いて、受診後に丁寧に説明してくれる施設を推奨します。特に内視鏡検査のようにリスクがある検査では、医師が2人以上いる施設が望ましい。私も大学病院で胃の内視鏡検査を受けた際、新米の医師に当たって胃に傷がついて出血したことがありましたが、その場で先輩の医師の指導で止血剤を2回投入して大事に至らなかった経験があります。また、スタッフが“無愛想”な施設は避けるべき。患者の気持ちを理解していない証であるのはもちろんのこと、医学知識がないゆえに偉そうな態度を取って患者を煙に巻こうとしている可能性もある。経験と知識が豊富で自信のある人は他者に優しく対応できるものです」(大櫛さん・以下同)
検査当日の対応に加え、フォローアップ体制があるかどうかも重要なポイントだ。
「たとえ少し基準値を超えていたとしても『経過観察』として生活習慣の指導をしてくれる医療機関がいい。逆に少しでも基準を超えたら精密検査だ、治療だ、と声高に言うところは避けるべき。
日本の医療費は患者を大量に治療しなければ利益が得られない仕組みになっているため、1人あたりの外来にかける時間は非常に短く、すぐに処方箋が出され、投薬治療が始まってしまう。しかし本来なら少し検査の数値が高かっただけで、薬など不必要な人が服用すれば、効果はなく副作用ばかりが出る。たとえば、降圧剤の副作用でふらつきや転倒、時には車の運転時や入浴時に事故を起こすケースもあります」
ときわ会常磐病院の乳腺外科医、尾崎章彦さんも「検査後の体制」を重要視すべしとアドバイスする。
「検査そのものは、どこの病院で受けても内容が大きく変わることはありません。だからこそ検査の結果が出たら解釈まできちんと教えてくれて、必要であれば専門的な機関を紹介してくれる体制が整っているところを探しましょう。ただし、胃カメラや大腸内視鏡検査は、医師の技量によって患者の体にかかる苦痛や負担に差があります。そうした検査の際は、インターネットの口コミなどを確認しつつ、どのくらいの件数をこなしているかを調べてから行くことを推奨します」(尾崎さん)
検診メニューを漫然と受ける時代は終わった。刻一刻と変化する情勢の中で自分の体を守るため、正しい知識をもとに取捨選択をしっかり行いたい。
※女性セブン2022年7月28日