放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、ナイツ塙が立ち上げた「劇団スティック」や、ラジオパーソナリティ人気番付について綴る。
* * *
身近な連中の小さな話。ドラマ『捜査一課長』に小きざみに出ていたナイツ塙の芝居を見て私が「流れるような棒読みだな」と言ったらめげない塙、すぐさま芝居経験のない素人を集めオーディション。「劇団スティック」なるものを立ちあげ近々公演をすると言う。全員が棒読み。いったいどんな劇団なんだ? 犬も歩けば棒にあたるが、下手すりゃ、劇場あければ棒にあたる。
「ラジオきいてたら高田センセが『プラン75』ってなんだよ。俺あと1年しか生きられねぇのかって荒れてるから、あぁこの人、もうフィクションとノンフィクションの境が分からなくなったんだな、気の毒に」なんて神田伯山がぬかしてる。私の言葉から『プラン75』を知り、映画を見に行ったらしいのだが「これが案外よくてさ……たしかあの監督って是枝一門でしょ。是枝臭がなくて良かった。身につまされたネ。だけど主役の倍賞千恵子が寅さんのさくらに重なっちゃってさ、昔は義理人情を売り物にしてたのにまわりのこの冷たさはなんだと。旦那の博は何やってんだ! 満男、母さんの世話をしてやれ―とちょっとつっこんだね」だとさ。伯山、お前もフィクションとノンフィクションの境がなくなってるじゃねえか。
出川哲朗がテレビで「見てますよ勿論、“13人の鎌倉殿”」。すかさず周りから「そんなにいないよ」。慌てて出川「いけねぇやばいよやばいよ。オレ裏の『イッテQ』に出てるんだ。宣伝しちゃいけなかったんだ。『イッテQ』の13人をよろしく」って、もうよく分からない。
大手広告代理店が行なったという調査結果を雑誌「FLASH」が入手し公開。題して「コロナ禍で注目度UP! ラジオパーソナリティ人気番付」。この調査は意外に珍しい。見てびっくり。上位はみんな軽妙なるハーフタレントとかでFMの人ばっかり。私ですらなじみのない方々。1位からサッシャ、次いでジョン・カビラ、クリス・ペプラーなど。6位から8位がハッキリしてて福山雅治、桑田佳祐、山下達郎。
おいおいAMチームどうしたと見れば、10位伊東四朗、11位ナインティナイン、出ました! 12位高田文夫、13位ナイツ、17位にオードリー。30位まで載っていたがニッポン放送の私がいつも聞いているTBSの爆笑問題、宮藤官九郎、神田伯山がまったく入っていない。果たして何かの力が働いたのか。調査はふしぎだ。
※週刊ポスト2022年7月29日号