連日のように続報が伝えられる安倍晋三元首相(享年67)の銃撃事件。殺人容疑で送検された山上徹也容疑者(41才)の供述が明らかになるにつれ、ある宗教団体との関連に注目が集まった。統一教会(2015年に世界平和統一家庭連合に改称。本稿では統一教会と記述する)である。
「当初、テレビや新聞は“特定の団体”として具体的な名称を伏せていました。ところが、当の教会側が会見で容疑者の母親が入信していた事実を認め、各社が一斉に“実名報道”に切り替えたのです。容疑者が多額の献金が家庭崩壊を招いた要因だったと供述したのを機に、それまで静観していたマスコミの論調は一変、教会には厳しい批判の目が向けられるようになりました」(全国紙社会部記者)
統一教会の名が広く一般に知られるようになったのは1992年頃。有名女優やスポーツ選手が相次いで入信を表明し、ワイドショーや週刊誌がこぞって教会の問題を取り上げるようになった。あれから30年。当時、教会の“広告塔”といわれた芸能人は、いま何をしているのか、そして今回の事件をどう受け止めているのか。
1992年、女優として第一線で活躍していた桜田淳子(64才)の告白は、芸能界のみならず日本中を驚かせた。
「韓国で行われる教会主催の“合同結婚式”に参加することを会見で表明したのです。見ず知らずの男性と結婚することは『価値観が一緒で人生の目的が同じ人が集まるのだから、不安はありません』とし、当時問題視されていた“性の儀式”についても『正しい家庭生活をスタートする上での厳粛な儀式と考えています』と臆面もなく言い切っていました」(芸能関係者)
当時、桜田が所属していたサンミュージックは“脱会”しなければ芸能活動を続けるべきではないと説得を試みたが、彼女の意思は固く、“祝福結婚”と呼ばれる式に参加。そのまま表舞台から姿を消した。
引退状態だった桜田が約14年間の沈黙を破って出版したのが2006年の自伝『アイスル ジュンバン』(集英社)だ。同書で桜田は、結婚後に3児をもうけたことや幸せな家庭を築いたことを綴ったが、統一教会についてひと言も触れていないことには批判もあった。
「熱心な信者であり続ける彼女が、近況を発信すること自体が“広告塔”としての活動とみなされたのです。出版と同時期に芸能活動を再開することも検討していたようですが、皮肉にもこの一件で再び芸能界と隔たりができてしまった」(前出・芸能関係者)
その後も活動再開をあきらめずにいた桜田が、捲土重来を期したのは2013年。“育ての親”と言われたサンミュージックの会長の通夜で公の場に姿を見せ、それを機に芸能活動を活発化させていく。
「デビュー40周年を記念したベストアルバムを発売し、ファンイベントも開催。さらに2017年にゲスト出演したイベントでは、過去に主演したミュージカルの主題歌などを歌ってアイドル時代と変わらぬ美声を披露しました。休業中もボイストレーニングを欠かさず、いつ復帰してもいいように態勢を整えていたといいます」(芸能記者)
2018年の『婦人公論』(3月13日号)では《この先10年間で今までの芸能活動の総括をしようと思っています》と宣言。「桜田淳子プロジェクト」と銘打ってホームページも立ち上げたが、このときも周囲の反応は冷ややかだった。
「芸能活動を総括する前に、いまだ一度も説明していない“広告塔”問題について釈明すべきとの批判が根強くあったのです。脱会する意思のない彼女に対しては、古巣の事務所もバックアップを拒んでいました」(前出・芸能記者)