国内

【安倍晋三語録】領土問題「北方領土や竹島への挑戦を跳ね返すのは外交交渉と軍事力」

領土問題についてどう考えていたか、過去のインタビューを振り返る

領土問題についてどう考えていたか、過去のインタビューを振り返る

 安倍晋三・元首相は、自分の考えを「明確な言葉」で表現する政治家だった。だからこそ、影響力を持ち、時に賛否の分かれる議論を呼んだ。『週刊ポスト』と国際情報誌『SAPIO』での領土問題についての発言を改めて振り返ると、政治家として何を追い求めていたのかが浮かび上がってくる。

 改憲とともに、安倍氏が強いこだわりを見せていたのが領土問題だった。

〈いかなる状況下でも、交渉相手国に対して、歴史を踏まえ、国際法に則って、日本の正当性を粘り強くしっかりと主張していくことが大切だと思います。国内においては、国民に領土問題を正しく教えていくことが必要でしょう〉(『SAPIO』2007年6月27日号掲載、取材は2006年8月2日)

 そうしたスタンスもあり、中国・韓国は、領土や歴史問題を「日本の戦争責任」と絡め、安倍氏を「歴史修正主義者」「ナショナリスト」などと目の敵にした。しかし当の安倍氏は涼しい顔だった。

〈自国の旗を振ったり、自国の国歌を歌うことは健全なナショナリズムである、と。偏狭なナショナリズムとは対立する相手国の国旗を燃やすような行為なんですね〉(同前)

 その後の民主党政権時代(2009~2012年)は、尖閣諸島周辺における中国との衝突など、領土問題がフォーカスされた。

 2010年に発生した尖閣沖の海上保安庁と中国漁船衝突事件では、当時の民主党・菅直人政権が中国人船長の釈放を決定。安倍氏は舌鋒鋭く民主党政権の弱腰を批判した。安倍氏は2012年12月に首相に返り咲くが、直前には強い危機感を表明していた。

〈いま、ロシアのメドベージェフ首相が北方領土へ行き、それを見た韓国の李明博大統領が竹島へ行き、またそれを見て中国が尖閣に上陸した。これらは連携しているわけではないけれども、連鎖した動きであることは間違いない。この連鎖の原点は、民主党政権の誕生なんですよ。

(中略)すでに占領されてしまったわが国の領土、つまり北方四島や竹島の領土問題を解決する上においては、外交交渉によるしかないわけです。一方、我々がしっかりと実効支配をしている島に対する挑戦を跳ね返すのは何かというと、それは純粋に軍事力です〉(『週刊ポスト』2012年9月7日号掲載)

関連記事

トピックス

タイと国境を接し、特殊詐欺の拠点があるとされるカンボジア北西部ポイペト。カンボジア、ミャンマー、タイ国境地帯に特殊詐欺の拠点が複数、あるとみられている(時事通信フォト)
《カンボジアで拘束》特殊詐欺Gの首謀者「関東連合元メンバー」が実質オーナーを務めていた日本食レストランの実態「詐欺Gのスタッフ向けの弁当販売で経営…」の証言
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《ベイビーが誕生した大谷翔平・真美子さんの“癒しの場所”が…》ハワイの25億円リゾート別荘が早くも“観光地化”する危機
NEWSポストセブン
まさか自分が特殊詐欺電話に騙されることになるとは(イメージ)
《劇場型の特殊詐欺で深刻な風評被害》実在の団体名を騙り「逮捕を50万円で救済」する手口 団体は「勝手に詐欺に名前を使われて」解散に追い込まれる
NEWSポストセブン
戸郷翔征の不調の原因は?(時事通信フォト)
巨人・戸郷翔征がまさかの二軍落ち、大乱調の原因はどこにあるのか?「大瀬良式カットボール習得」「投球テンポの変化」の影響を指摘する声も
週刊ポスト
公然わいせつで摘発された大阪のストリップ「東洋ショー劇場」が営業再開(右・Instagramより)
《大阪万博・浄化作戦の裏で…》摘発されたストリップ「天満東洋ショー劇場」が“はいてないように見えるパンツ”で対策 地元は「ストリップは芸術。『劇場を守る会』結成」
NEWSポストセブン
なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
沢尻エリカ、安達祐実、鈴木保奈美、そして広末涼子…いろいろなことがあっても、なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
女性セブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
過去の大谷翔平のバッティングデータを分析(時事通信フォト)
《ホームランは出ているけど…》大谷翔平のバッティングデータから浮かび上がる不安要素 「打球速度の減速」は“長尺バット”の影響か
週刊ポスト
電動キックボードの違反を取り締まる警察官(時事通信フォト)
《電動キックボード普及でルール違反が横行》都内の路線バス運転手が”加害者となる恐怖”を告白「渋滞をすり抜け、”バスに当て逃げ”なんて日常的に起きている」
NEWSポストセブン
16日の早朝に処分保留で釈放された広末涼子
《逮捕に感謝の声も出る》広末涼子は看護師に“蹴り”などの暴力 いま医療現場で増えている「ペイハラ」の深刻実態「酒飲んで大暴れ」「治療費踏み倒し」も
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン