「甲状腺がん治療の革命児」筒井英光医師に密着 正確無比な“ゴッドハンド”
甲状腺がん治療の第一人者、筒井英光医師
気管支鏡を巧みに動かし、モニターを見ながら、気管内に浸潤したがんをマイクロ波で焼灼する筒井医師。甲状腺がんの気道浸潤を専門とする気管支鏡下腫瘍焼灼術を行なっているのは世界で唯一
甲状腺がん手術を執刀する筒井医師(右から2人目)。手術には必ず3人以上の専門医で臨む。緻密で正確無比な手技は芸術的と評される
他病院で10年前に甲状腺がん手術を受けた患者に血痰が出現し、気管内に浸潤するがんが見つかった。紹介を受けた筒井医師が気管支鏡下腫瘍焼灼術を実施。【上】治療前。【中】焼灼後1か月。がんが凝固・縮小している。出血のリスクが減ってから分子標的薬治療を開始。【下】焼灼後12か月、分子標的薬治療開始後10か月。がんは消え、治療部の気管粘膜は再生し滑らかになった
甲状腺がんの位置や大きさにより、手術は全摘あるいは葉切除(片側だけ切除)となる
手術開始から30数分で切除した甲状腺の左葉。周囲の直径1ミリほどの反回神経をはじめ、迷走神経、動脈、静脈などを慎重に避けながらの速く精微な執刀は圧巻
手術野は径5センチと狭い。筒井医師が持つ白いハサミ状のものが最新のエナジーデバイス。出血させずに剥離・凝固・切開ができ、合併症を防ぐ効果が高い
筒井医師率いる甲状腺外科チームのカンファレンスでは、それぞれの症例の手術・治療の方向性について医師たちが意見を出し合う
切除した甲状腺左葉に付着した米粒大の正常副甲状腺。この副甲状腺を生着しやすいようにミンチ状にしてから、胸鎖乳突筋内に戻して自家移植する。副甲状腺は4腺あり、血液中のカルシウム濃度を調節する重要な役割を担う最小の内分泌臓器
執刀した甲状腺がん手術は2000例以上。「全力を出し尽くし、手術が終わった瞬間に『やりきった!』と思える手術を毎回目指しています」