国内

安倍氏銃撃事件で懸念される模倣犯 “手製の武器の使用”を防ぐのは困難な現状

山上徹也容疑者のTwitter投稿から何が読み取れるのか(写真/共同通信社)

模倣犯の出現が懸念される(写真/共同通信社)

 7月8日の惨劇から、いまだに日本中が混乱の中にある。安倍晋三元首相(享年67)の銃撃事件で誰もが驚いたのは、凶器の銃が手製だったことだ。殺人容疑で逮捕された無職の山上徹也容疑者(41才)の自宅からは、手製の銃7丁が見つかり、うち1、2丁は作りかけだった。

 これまで、日本では暴力団や一部のガンマニアが銃を手作りするケースが多かったが、近年は誰でも銃が作れる危険度が高まっている。その契機となったのが、インターネットの普及だ。最近は、ネットで入手した凶器を使った事件も目立つようになった。

 昨年11月、愛知県弥富市の中学3年生の男子生徒が同学年の男子生徒を刺殺した事件では、加害生徒が事件で使った包丁をネットで購入している。

 2019年9月、茨城県境町の一家4人が殺傷された事件では、容疑者がサバイバルナイフや催涙スプレーをネットで購入していた。

 2015年に兵庫県洲本市で男女5人が刺殺された事件でも、容疑者はホームセンターでは取り扱いがないタイプのサバイバルナイフをネット経由で手に入れていた。

 また、通常は取引できないモノが流通する「ダークウエブ」の暗躍も囁かれる。警察庁の日本の銃器情勢によれば、令和3年にネットの闇オークションサイトや掲示板などを端緒として押収された拳銃は36丁にものぼり、近年は年間30〜50丁台で推移しているという。ITジャーナリストの三上洋さんは言う。

「ダークウエブとは、通常のネットから直接アクセスできず、『Tor』というツールを使って利用する隠れたサイト・ネットサービスのことを言います」

 そこでは、不正アクセスで入手した個人情報や薬物、武器など、少なくとも日本ではまっとうには流通しない代物が取引されている。Torは2005年頃から普及し、インストールすると、自分のアクセス元やIPアドレスなどを匿名化してウエブサイトを閲覧することができる。

「Torを利用してダークウエブにアクセス・閲覧すること自体はさほど難しくありません。しかし、ダークウエブサイトでの取引や金銭の授受には複雑な条件や登録が必要。ダークウエブを規制する手立てはありませんが、少なくとも一般市民が悪用するには、ハードルが高すぎる」

 Torは本来、ユーザーのプライバシーを守るために作られたもので、それ自体は危険なものではない。銃器評論家の津田哲也さんはこう話す。

「警察は定期的にサイバーパトロールで巡回しています。一般人がネットを駆使して銃を入手しても、すぐに足がつく。少なくとも、無差別殺人などにネットで買った銃が使われる可能性は低い」(津田さん・以下同)

関連キーワード

関連記事

トピックス

同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
電動キックボードの違反を取り締まる警察官(時事通信フォト)
《電動キックボード普及でルール違反が横行》都内の路線バス運転手が”加害者となる恐怖”を告白「渋滞をすり抜け、”バスに当て逃げ”なんて日常的に起きている」
NEWSポストセブン
入場するとすぐに大屋根リングが(時事通信フォト)
興味がない自分が「万博に行ってきた!」という話にどう反応するか
NEWSポストセブン
過去の大谷翔平のバッティングデータを分析(時事通信フォト)
《ホームランは出ているけど…》大谷翔平のバッティングデータから浮かび上がる不安要素 「打球速度の減速」は“長尺バット”の影響か
週刊ポスト
16日の早朝に処分保留で釈放された広末涼子
《逮捕に感謝の声も出る》広末涼子は看護師に“蹴り”などの暴力 いま医療現場で増えている「ペイハラ」の深刻実態「酒飲んで大暴れ」「治療費踏み倒し」も
NEWSポストセブン
初めて沖縄を訪問される愛子さま(2025年3月、神奈川・横浜市。撮影/JMPA)
【愛子さま、6月に初めての沖縄訪問】両陛下と宿泊を伴う公務での地方訪問は初 上皇ご夫妻が大事にされた“沖縄へ寄り添う姿勢”を令和に継承 
女性セブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で天皇皇后両陛下を出迎えた女優の藤原紀香(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
《天皇皇后両陛下を出迎え》藤原紀香、万博での白ワイドパンツ&着物スタイルで見せた「梨園の妻」としての凜とした姿 
NEWSポストセブン
“極度の肥満”であるマイケル・タンジ死刑囚のが執行された(米フロリダ州矯正局HPより)
《肥満を理由に死刑執行停止を要求》「骨付き豚肉、ベーコン、アイス…」ついに執行されたマイケル・タンジ死刑囚の“最期の晩餐”と“今際のことば”【米国で進む執行】
NEWSポストセブン
何が彼女を変えてしまったのか(Getty Images)
【広末涼子の歯車を狂わせた“芸能界の欲”】心身ともに疲弊した早大進学騒動、本来の自分ではなかった優等生イメージ、26年連れ添った事務所との別れ…広末ひとりの問題だったのか
週刊ポスト
2023年1月に放送スタートした「ぽかぽか」(オフィシャルサイトより)
フジテレビ『ぽかぽか』人気アイドルの大阪万博ライブが「開催中止」 番組で毎日特集していたのに…“まさか”の事態に現場はショック
NEWSポストセブン