新型コロナの新規感染者が連日10万人を超え、「第7波」が本格的に到来したと言われる。感染が拡大した最大の理由は、オミクロン株の派生型である『BA.5』の登場だ。昭和大学医学部客員教授の二木芳人氏が語る。
「今年5月に空港検疫で発見されたオミクロン株の『BA.5』はこれまで感染の主流だった『BA.2』より感染力が1.27倍強いと言われており、ワクチン接種で得られた免役をすり抜ける能力も高い。30代以下の若い人から感染が広がり、家庭内感染などで高齢者にも感染しています」
国立感染研究所は、7月の第1週に36%と見られた『BA.5』の検出割合が8月の第1週にほぼ100%になると試算している。
「行動制限の緩和で若い世代を中心にコロナへの警戒感が薄くなっている。政府は新たな行動制限の導入に消極的なので、人流が増える夏休みやお盆に感染者がさらに増加するでしょう」(二木氏)
感染者が急増する中、政府が『BA.5』対策の要とするのが「ワクチンの追加接種」だ。
「若い世代は3回目の接種率が低く、高齢者は3回目を終えてから数か月経った状態ですから、感染予防効果は確実に低下しています。
『BA.5』は感染力が高い変異株ですが、ワクチン接種によって重症化や死亡のリスクを下げることができる。高齢者の感染拡大を防ぐためにも4回目の接種は重要です」(同前)
日本では、5月25日から60歳以上や18歳以上で基礎疾患のある人などに4回目の接種が始まり、米英や仏独などの先進国でも4回接種が進んでいる状況だ。
さらなる追加接種が進む国もある。
カンボジアでは、6月に医療従事者や60歳以上の国民に対して5回目の接種が始まった。さらに、タイのアヌティン副首相兼保健相は6月13日に6回目のワクチン接種を受けたが、その甲斐なく約2週間後にコロナに感染した。
追加接種を進めても、感染が完全に収束する気配はない。私たちはあと何回、ワクチンを打てばいいのか。