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東尋坊をパトロールする“命の番人”が救った人々 余命半年から新たな目標見えた人も

「ちょっと待ておじさん」の愛称で知られる茂幸雄さんが助けた人たちは幅広い

「ちょっと待ておじさん」の愛称で知られる茂幸雄さんが助けた人たちは幅広い

 福井県坂井市の「東尋坊」は、景勝地としても有名だが、その一方で“自殺の名所”として知られる。この地で、自ら命を絶とうとする人に声をかけているのは、NPO法人「心に響く文集・編集局」代表理事の茂幸雄さんだ。茶屋「心に響くおろしもち」を開き、支援やパトロールを続け、これまでに766人(2022年7月14日現在)の命を救ってきた。実際に茂さんが助けたリアルケースを紹介しよう。

パワハラ課長を監査室に訴えた

 20代の会社員Aさんは、深刻なパワハラ問題を抱えて東尋坊に立っていたところを茂さんに保護された。

「Aさんの部署に異動してきた新しい課長は厳しい人で、些細なミスだろうと見つけ出しては、わざと大げさに叱りつけたそうです。

 特にAさんは課長に目を付けられ、毎日つらく当たられました。恐怖で萎縮し、1か月後には出勤するのが怖くなり、課長から名前を呼ばれるだけで体が硬直して、冷や汗が出るようになったそうです」(茂さん・以下同)

 そんなある日、課長から同僚たちの前で、

「お前ほどの役立たずはこの部署にはいらない」

 と言われたAさん。ショックで倒れ、病院に担ぎこまれてしまう。

「退院後、気づいたら東尋坊に立っていたと言います」

 これこそ典型的なパワハラだと判断した茂さんは、Aさんにこうアドバイスした。

「この課長の態度は、社内の監査室に訴える必要があります。そのための証拠として、課長がどれほどの暴言を吐いているか、ボイスレコーダーに録音してください」

 そんなこと怖くてできないと渋るAさんを励まして説得し、見事録音に成功させる。そして後日、茂さんはその録音データを手に、Aさんとともに会社の監査室を訪ね、改善を願い出たのだった。

「監査室ではこの事態を重く受け止めて、Aさんに心の病が治るまでの傷病手当が認められました。復帰後は、例の課長とは違う部署で働き始めたそうです。監査室から課長にも注意があったのでしょう。その後は態度も改まったと聞いています」

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