芸能

水谷豊と寺脇康文、14年越しの抱擁 紆余曲折を経て再び“相棒”になるまで

がっちりと握り合った手に思いの強さが宿る

がっちりと握り合った手に思いの強さが宿る

 長すぎる14年という歳月は、かつてタッグを組んだ“相棒同士”には、溝を埋めるために必要な時間だったのかもしれない。時間にしてわずか数秒の抱擁だった。しかし、そこには、“相棒”として駆け抜けた8年間と、その後道を違えた14年間の「友情」や「畏敬」、「葛藤」といったさまざまな感情が凝縮されていた──。

 全国的に低気圧に覆われ、ジメジメと蒸し暑い日となった7月下旬のある日、関東近郊のホテルで、ドラマ『相棒』(テレビ朝日系)の撮影が行われていた。出入り口は厳重にチェックされており、関係者以外はロビーに立ち入ることさえできない。厳戒態勢の中、カメラの前に立っていたのは、水谷豊(70才)と寺脇康文(60才)だった。

「その日が、10月から放送が始まるシーズン21のクランクインでした。現場にエキストラはいましたが、名前のある出演者は水谷さんと寺脇さんのみ。新シーズンの撮影初日は、“やっぱりこの2人だけのシーンからスタートしたい”ということもあって、スケジュールが組まれたそうです」(ドラマ関係者)

 ホテルを丸ごと1棟貸し切りにするほどのロケに、制作陣の気合が感じられた。2000年のプレシーズンを皮切りに放送が始まった相棒シリーズは、いまではテレビ朝日を代表する看板ドラマだ。

 頭脳明晰でありながら、周囲を煙に巻く言動で変人扱いされ、「特命係」という窓際部署に所属する警部・杉下右京役の水谷が、後輩とコンビを組んで事件を解決に導いていくストーリー。人気の礎を築いたのが、放送開始当初から初代相棒の亀山薫として出演した寺脇だった。

 2008年を最後に番組を卒業後、寺脇はスペシャル版にすら登場することはなかったが、今年6月、新シーズンからの再登板が発表されファンを驚かせた。

「14年越しの共演に、スタッフも特別な思いでクランクインを迎えました。寺脇さんが現場に現れると、スタッフからは“おかえりなさい”という声とともに拍手が沸き起こりました」(前出・ドラマ関係者)

 降板時、作中で寺脇は南アジアにある「サルウィン」という架空の小国でのボランティア活動に向かうため、警察官の職を辞した。

「初日の撮影場面は、サルウィンからの要人を迎えたパーティーシーンでした。久しぶりの共演ですが、そんな時間を感じさせないくらい、水谷さんと寺脇さんの呼吸はぴったり合っていたそうです」(前出・ドラマ関係者)

 そうして初日の撮影を終えた2人が見せたのが、冒頭の姿だった。夏らしいストローハットをかぶった水谷が右手を差し出すと、黒いTシャツ姿の寺脇の右手がそれを固く握った。次の瞬間、どちらともなく固く結んだ手をたぐり寄せ、もう片方の手をお互いの背中に回した。体を寄せ合い、がっちりと抱擁。マスク越しでも、水谷が口元に笑みをたたえているのが伝わってくる。一方の寺脇も目尻が下がり、喜びにあふれていた。しかし、そこに至るまでには、相棒だったはずの2人の紆余曲折があった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

『激レアさんを連れてきた。』に出演するオードリー・若林正恭と弘中綾香アナウンサー
「絶対にネタ切れしない」「地上波に流せない人もいる」『激レアさんを連れてきた。』演出・舟橋政宏が明かす「番組を面白くする“唯一の心構え”」【連載・てれびのスキマ「テレビの冒険者たち」】
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平が帰宅直後にSNS投稿》真美子さんが「ゆったりニットの部屋着」に込めた“こだわり”と、義母のサポートを受ける“三世代子育て”の居心地
NEWSポストセブン
現場には規制線がはられ、物々しい雰囲気だった
《中野区・刃物切りつけ》「ウワーーーーー!!」「殺される、許して!」“ヒゲ面の上裸男”が女性に馬乗りで……近隣住民が目撃した“恐怖の一幕”
NEWSポストセブン
シンガポールの元人気俳優が性被害を与えたとして逮捕された(Instagram/画像はイメージです)
避妊具拒否、ビール持参で、体調不良の15歳少女を襲った…シンガポール元トップ俳優(35)に実刑判決、母親は「初めての相手は、本当に彼女を愛してくれる人であるべきだった」
NEWSポストセブン
「ミスタープロ野球」として広く国民に親しまれた長嶋茂雄さん(時事通信フォト)
《“ミスター”長嶋茂雄さん逝去》次女・三奈が小走りで…看病で見せていた“父娘の絆”「楽しそうにしている父を見るのが私はすごくうれしくて」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ犯から殺人犯に》「生きてたら、こっちの主張もせんと」八田與一容疑者の祖父が明かしていた”事件当日の様子”「コロナ後遺症でうまく動けず…」
NEWSポストセブン
「グラディアトル法律事務所」の代表弁護士・若林翔氏
【改正風営法、施行へ】ホストクラブ、キャバクラなどナイトビジネス経営者に衝撃 新宿に拠点を持つ「歌舞伎町弁護士」が「風俗営業」のポイントを解説
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
「本人にとって大事な時期だから…」中居正広氏の実兄が明かした“愛する弟との現在のやりとり”《フジテレビ問題で反撃》
NEWSポストセブン
長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督からのメッセージ(時事通信フォト)
《長嶋茂雄さんが89歳で逝去》20年に及んだ壮絶リハビリ生活、亡き妻との出会いの場で聖火ランナーを務め「最高の人生」に
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
「兄として、あれが本当にあったことだとは思えない」中居正広氏の“捨て身の反撃”に実兄が抱く「想い」と、“雲隠れ状態”の中居氏を繋ぐ「家族の絆」
NEWSポストセブン
今年3月、日本支社を設立していたカニエ・ウェスト(時事通信フォト)
《カニエ・ウェストが日本支社を設立していた》妻の“ほぼ丸出し”スペイン観光に地元住人が恐怖…来日時に“ギリギリ”を攻める可能性
NEWSポストセブン
現在、闘病中の西川史子(写真は2009年)
《「ありがとう」を最後に途絶えたLINE》脳出血でリハビリ中の西川史子、クリニックの同僚が明かした当時の様子「以前のような感じでは…」前を向く静かな暮らし
NEWSポストセブン