安倍晋三・元首相(享年67)を銃撃した山上徹也容疑者の減刑を求める署名運動が起きている。オンライン署名サイト「Change.org」で署名を募るページが開設され、発起人は〈過酷な生育歴を鑑みての温情〉と〈本人が非常に真面目、努力家であり、更生の余地のある人間である事〉を減刑を求める理由として挙げている。
山上容疑者の“宗教2世”としての過酷な生育環境などが明らかになる中で、世間では彼に同情する声も上がっている。当該ページには7月29日までに2200人を超える署名が集まり、〈彼は被害者だと思う〉〈彼の行動により政治と統一教会の関係が暴かれた〉といった賛同コメントが寄せられた。一方で、〈まだ起訴もされてないのに〉〈殺人は殺人〉など、この署名運動を批判する声も。
著名人もそれぞれの意見をSNSで表明している。女優の松田美由紀(60)は、〈罪は重いと思うけど。どんなに追い詰められていたかを考えると、胸が痛みます。死刑に反対します〉と山上容疑者に同情を示した。
お笑い芸人の三浦マイルド(44)は、〈ホンマ狂っとるな〉と署名運動に反対の立場を取り、〈此奴は世間はおろか昭恵さんにも謝罪がないんだぞ。何が更生の余地だ。毎日昭恵さんが一人泣いてるのではないかと想うと胸が痛いわ〉と猛批判した。タレントのフィフィ(46)も〈“減刑”って、司法の判断も出ていないのに感情だけ先走って動いてはいけない。あと不幸な境遇なら罪を犯すわけでもない。犯した罪への、それ相当の裁きは必要。何より罪を犯すからには罰を覚悟すべきで同情は不要〉との見方だ。
弁護士は「時期尚早ではないか」
『検察の正義』(ちくま新書)などの著書を持ち、元検事でもある弁護士の郷原信郎氏は取材に応じ、「山上容疑者の悲惨な境遇に、自分たちの境遇を重ね合わせる宗教2世の人たちの気持ちは理解できますが、署名運動は時期尚早ではないかと思います」と語る。
「山上容疑者を宗教2世の象徴のように捉えて、ある種の英雄視をしてしまうのは危険です。取り調べは始まったばかりで、動機も含めた事実関係はこれから明らかになっていくところ。まだ減刑云々を考える段階ではないでしょう」(郷原弁護士、以下同)
今回のような減刑嘆願書は、裁判にどれだけ影響するのか?