日本で膝痛に悩む人は約3000万人といわれており、そのうち9割が軟骨の減少が原因で発症する変形性膝関節症だという。今や国民病となった膝痛だが、朝から夜までの日常生活の至るところに痛みの改善ポイントが隠されている。
帰宅後、一日を締めくくるには風呂が先か、夕食が先か。どちらにおいても、ほんの少しの意識で膝痛を改善することができる。我汝会きたひろしま整形外科の原則行院長はこう言う。
「晩酌が楽しみだという人も多いでしょうが、アルコールはカロリーの過剰摂取に繋がるので肥満気味の人は深酒はやめましょう。アルコール分解に体内エネルギーが費やされるため、膝の症状の改善スピードが鈍る。できればアルコールの代わりに白湯やお茶を飲んでほしい。
食べ物も油っぽいものや糖分が多いものを控え、野菜やわかめなどの海藻類、脂肪分の少ない魚介類や鶏肉、赤身の肉などを積極的に摂取してください」
また、「ヒアルロン酸」「コンドロイチン」「コラーゲン」など、膝痛に効くというサプリに頼ってばかりではいけないと永振クリニックメディカルセンター院長の陳昌カイ医師は言う。
「あくまでサプリは補助的なもの。適切な食事と運動やエクササイズで膝周りの筋肉を鍛えて、膝の負担を緩和することが大切です」
入浴時もひと工夫で膝痛の症状は変わる。
「熱すぎずぬるすぎず、心地よい湯加減のお風呂に5分以上、全身浸かることがポイントです」
とは原氏。風呂での全身浴は血行を促進し、筋肉の緊張を緩めてくれるので、膝痛改善の運動をするのに最適だ。
「浴槽では、足を伸ばして座った状態から曲げ伸ばしをすると膝の痛みを改善できます。膝のお皿をタテ・ヨコに動かしてほぐすのも効果的です」(原氏)
この“お皿ほぐし”が重要になってくる。
年齢を重ねると股関節や足首が固くなり、O脚になってしまう人が多い。そうなると膝のお皿の位置がずれ、摩擦が起きることで軟骨が減りやすくなる。お皿の位置を正しい位置へ戻して、この問題を解決するのがお皿ほぐしなのだ。
「浴槽が狭くてできない場合は、全身浴で体を温めてから行ないましょう。浴槽の縁に座り、滑らないようにタオルなどをお尻に敷いてから両手をついて片足ずつゆっくりと曲げ伸ばしをすると効果的です」(同前)