「20世紀最後の大型新人」として1999年、『White』にてデビューしたアーティストshela。翌年11月、日本有線放送大賞新人賞、翌々年1stアルバム『COLORLESS』でオリコン週間アルバムチャート第1位など活躍したが、2012年頃を境に表舞台から姿を消した──。ミステリアスな存在だった彼女は現在、1児の母として奮闘中。この10年間、彼女は何を考え、何に悩み、どうやって生きてきたのか。その闇に突如灯った“ほのかな希望”とは?
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「『HEY!HEY!HEY!』で浜田(雅功)さんから受けたツッコミは、本当に容赦なくて痛かったな(笑)。あと『ミュージックステーション』では緊張している私にタモリさんが優しく声をかけてくれて……」
そう思い出を語るshela。水野美紀主演ドラマ『女子アナ。』(2001年・フジ系)の主題歌『feel』、アニメ『ONE PIECE』(フジ系)のエンディングテーマ『月と太陽』など数々のヒット作に恵まれ、輝かしい活躍を見せてきたが、その裏には苦悩や葛藤があった。
「ある日、プロデューサーから電話がかかってきて、『今日からお前はshelaだ』と言われたんです。本名で活動したかったので、ひどく言い合いになりましたね(笑)。『White』のレコーディングでも、『もっとこうして欲しい』と求められる部分が、自分にない引き出しに思えて戸惑ったり。ですが、必死に食らいついて、できることが少しずつ増えていって……。shelaというアーティストの理想の形に近づいていけるように、一生懸命手探りで模索し続けていた感じでした」
なかでも『feel』は彼女を語る上で外せない楽曲だ。
「バラード曲=shelaが、私のイメージだったのですが、『feel』はバンドサウンド。ジャンルがかけ離れていて、自分が目指すアーティスト像からも遠のいてしまいそうで、怖くなってしまって……。悩んだ末に家族とも話し、歌をやめることまで考えました。でも、結果的に、これまでのどの楽曲よりもファンの方の反応が良かったんです。それをきっかけに、自分が思う“自分らしさ”だけが評価されるわけじゃないこと、自分の可能性を勝手に決めつけていたことにも気づけました」