彼女の目は最初から泣きはらしているように見えた。8月1日、安倍昭恵さん(60才)は山口県の山口宇部空港に降り立った。夫で元首相の安倍晋三氏(享年67)が凶弾に倒れてから、初めての地元訪問となる。
地元後援者らと会食後、彼女は長門市にある安倍家の墓に向かった。墓前に現れた昭恵さんは傍目にも憔悴し、いまにも倒れそうだ。何度も夫と一緒に訪れた場所を、こんな形でひとりで訪問するとは夢にも思わなかっただろう。支援者らと話しながら、何度もハンカチで目頭を拭った。そして墓の前で、手を合わせて深く頭を垂れた。
悲しみに包まれた墓参り。それは「安倍家」へのお別れでもあったのかもしれない。《国葬反対53%》──9月27日に日本武道館で行われる予定の安倍氏の国葬が国論を二分している。共同通信が7月末に実施した全国電話世論調査では、国葬に「反対」「どちらかといえば反対」が計53.3%を占めた。
費用は全額国の負担で、世界中から弔問客が集まる。大規模な国葬の準備を進める岸田内閣の支持率は発足以来最低となる51%まで急落し、「中止しなければ濃硫酸を散布する」「全国の子供をスタンガンで気絶させた上で誘拐する」など、物騒なメールが各自治体に寄せられる事態にまで発展している。安倍家の知人が語る。
「官邸サイドも一応、安倍家に国葬についてお伺いを立てたようです。でも相手は晋三さんの母・洋子さん(94才)と実弟の岸信夫さん(63才)がメインで、昭恵さんの意見を聞くことはほぼなかった。それでもここまで国民の反対が強くなるとは予想外で、最終的に昭恵さんに判断してほしいという声もあがっているそうです」
なぜ国葬について、当初は昭恵さんの意見が聞き入れられなかったのか。
「昭恵さんの言動に周囲が困り果てているんです……」
そっと打ち明けるのは昭恵さんの知人だ。
「彼女は7月の参院選が終わったら、あちこち旅行に行く計画を立てていましたが、7月8日に晋三さんが凶弾に倒れたことで予定変更せざるを得なくなった。その1つが知人に誘われていた壱岐島への旅行でした。ところが、晋三さんが亡くなられて間もなく、再び壱岐島に行きたいと言い始めたんです。本人としては、夫を亡くした喪失感からの“逃避行”なのでしょうが、周囲は『四十九日法要も終わらないのに旅行は早すぎる』と必死でなだめて、壱岐島行きを諦めさせたそうです」
長崎県にある壱岐島は150を超える神社が点在し、島全体がパワースポットといわれている場所で、昭恵さんはこれまでも頻繁に訪れている。昭恵さんが“見えない力”に頼るのは、いまに始まったことではない。
「もともと昭恵さんの友人にはスピリチュアル系の人が多かったのですが、ここ数年はさらにスピリチュアル信仰が加速しました。安倍家や支援者のなかで昭恵さんのスタイルを理解できていたのは晋三さんだけで、彼が亡くなってからは昭恵さんをどうなだめればいいか、周囲が頭を抱えています。本来なら国葬についても妻の意見が尊重されるべきですが、いまは昭恵さんの意見を聞こうとの雰囲気ではありません」(前出・安倍家の知人)