ミニスカートからすらりと伸びた美脚で、スタスタと歩いて迎えの車に乗り込んだのは、金髪ショートヘアの女優・高畑充希(30才)。再び猛暑を記録し始めたうだる暑さの7月29日。世界的名作ミュージカル『ミス・サイゴン』の出演を終えて、帰宅する彼女の表情は充実感と安堵が入り混じったものだった。
前日28日までのプレビュー公演は、公演関係者に新型コロナウイルス感染症の陽性者が出たため、急遽中止となっていた。初日を終えて、ほっと一息ついたところだったようだ。ある演劇関係者は「高畑さんにとっては2年越しの念願だった大役。ずっと昔から演じたがっていたキム役なので、感慨もひとしおでした」と明かす。
デビューは2005年。『山口百恵トリビュートミュージカル』のオーディションで、13才にして約1万人の中から主演に選ばれ、早17年。15才からは、6年連続で名作『ピーターパン』の主演。その後も『スウィニー・トッド~フリート街の悪魔の理髪師~』や、今年3月の『ウェイトレス』など、数々のミュージカルで主演を務めてきた。
お茶の間では、2016年のNHK朝の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』のヒロインや、その後の『にじいろカルテ』などの連ドラ主演でおなじみだが、そんなテレビドラマではめったに披露することのない歌唱力こそが、本来の持ち味。日本屈指のミュージカル女優である。
「高畑さんが長年目標に掲げていたのが、30年前の1992年の初演以降に何度も上演されてきた、歴史的名作『ミス・サイゴン』のヒロイン・キム役でした」(前出・演劇関係者)
故・本田美奈子さん(享年38)、松たか子(45才)、新妻聖子(41才)、笹本玲奈(37才)ら、そうそうたるミュージカル女優がバトンを繋いできたヒロイン役。2020年版をオーディションで勝ち取ったはずだったが、コロナの影響で、全公演中止に。今回の日本初演30周年公演は、高畑にとってのリベンジ公演でもあった。