プロ野球初の5打席連続弾を達成し、三冠王さえ射程に捉えるヤクルトの主砲・村上宗隆(22)。8月6日に開幕する夏の甲子園には、その弟・慶太が登場する。
兄と同じ九州学院(熊本)の3年生で、4番・ファースト。兄は188cm、97kgの体躯だが、弟の慶太も190cm、94kgという体格の持ち主。右投げ左打ちも共通する。
「兄の打撃フォームを参考にしているといい、インステップ気味のスタンスまでそっくり。話題性は抜群です。今年の最注目スラッガーだった花巻東・佐々木麟太郎が岩手大会で敗退したこともあり、メディアの注目が集中するでしょう」(スポーツ紙デスク)
ただ、兄が高校通算52本塁打だったのに対し、弟の慶太はこれまで6本にとどまる。
「夏の熊本大会で4番に抜擢されましたが、春季大会はベンチ入りを逃しています。夏の大会も、秀岳館との決勝では先制タイムリーを放つなどして大きな見出しになったが、大会を通じては打率.222で本塁打ゼロ、打点1と物足りない数字で、九州学院の他のクリーンナップのほうが結果を残した。ただ、メディアとしてはスターがいないと困るので、村上・弟を大きく取り上げざるを得ないという事情はあります」(アマ担当記者)
九州地区担当のプロ野球スカウトに意見を聞くと、「村上の弟ね……」と少し言葉を詰まらせた。
「話題性はあります。ただ、変化球が打てない。兄より大きい体を、まだ持て余している印象です。もちろん、甲子園で覚醒する選手も少なくないのでわからないですが、現時点では大きな当たりが打てるイメージはない。ただ、試合中によく声が出ているので、プロ向きの明るい性格ではあると思います」
もちろん、兄を見ていれば潜在能力に期待が集まるのは当然だろう。
「熊本大会決勝のスタンドにはヤクルト、ソフトバンク、阪神、ロッテのスカウトがチェックに来ていた。地元のソフトバンクは興味があるだろうし、もちろん兄がいるヤクルトも入団すれば話題になる。下位指名する球団はあるのでは。ただ、本人には“偉大すぎる兄”がプレッシャーになってしまうかもしれません」(前出・アマ担当記者)
怪物の弟も楽じゃない。
※週刊ポスト2022年8月19・26日号