国内

東大生4人が創設した旧統一教会系の学生団体「UNITE」“安倍応援団”としての行動

2016年に行われた旧統一教会系の学生団体「UNITE」のデモ(撮影/西谷格氏)

2016年に行われた旧統一教会系の学生団体「UNITE」のデモ(撮影/西谷格氏)

 安倍晋三・元首相を銃撃した山上徹也容疑者は、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に入信した母親が全財産を教団に貢いだため裕福だった家庭が崩壊、貧困の中で育ち、憎しみのはけ口を安倍氏に向けた。しかし、それとは逆に、同教団には安倍氏を熱心に応援する2世信者たちがいた。

 安倍氏は政権に返り咲いて3年目に大きな危機を迎えた。安倍政権が推進した安保法制(2015年)に反対するデモが国会を取り囲み、支持率は急落、若者に抗議活動を呼びかける学生組織SEALDs(シールズ)がマスメディアの脚光を浴びた。その頃、そうした流れに対抗して現役東大生4人が結成したのが「国際勝共連合 大学生遊説隊 UNITE(ユナイト)」(2016年1月結成)だ。創設メンバーの4人は全員、旧統一教会の2世信者だ。

 UNITEは各地に結成され、〈安保法制 賛成〉〈憲法改正支持! 安倍政権を支えよう!〉などと書かれたプラカードや横断幕を持って全国の主要都市で遊説やデモ行進を展開した。

 まさに若者の“安倍応援団”の中核としての行動だった。旧統一教会の活動に詳しいジャーナリスト・鈴木エイト氏はこう見る。

「2015年秋にSEALDsが若者に呼びかけて官邸前で安保法制反対の大掛かりなデモが行なわれたが、政府には対抗する団体がなかった。しかも、2016年には選挙権年齢が18歳に引き下げられて初めての参院選がひかえており、自民党は若者の支持が離れることに危機感を募らせていた。そこで統一教会・勝共連合がSEALDsに対抗する学生の団体を設立したのだと思います。

 UNITEが『安保法制賛成』『憲法改正支持』を掲げてデモや遊説を行なうと、当時、自民党広報本部長代理だった平井卓也・元IT担当相はフェイスブックで『このようなデモはあまり報道されませんが、学生はシールズというイメージは間違いです』と書き込み、UNITEが各地で開くセミナーやイベントには自民党の国会議員が多数参加しています」

 UNITEは参議院選前にも2度の一斉演説や6大都市でのデモ行進を行なった後、2017年に「勝共UNITE」と名前を変更し、活動はいまも続いている。

 昨年の総選挙直後の11月7日には国際勝共連合主催・勝共UNITE共催の憲法改正推進イベント『救国救世勝共大会2021』が開かれた。前出の鈴木氏は、「大会の動画を確認したところ安倍派の中根一幸・元外務副大臣が音声のメッセージを寄せ、『今日は若い方々がたくさん参加をされている』『皆さまと一緒にしっかりとそういった素晴らしい日本を作っていきたい』と2世信者たちを勇気づけた」という。中根事務所では、「個別の問い合わせにはお答えしていません」と回答を拒否した。

関連キーワード

関連記事

トピックス

同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
電動キックボードの違反を取り締まる警察官(時事通信フォト)
《電動キックボード普及でルール違反が横行》都内の路線バス運転手が”加害者となる恐怖”を告白「渋滞をすり抜け、”バスに当て逃げ”なんて日常的に起きている」
NEWSポストセブン
入場するとすぐに大屋根リングが(時事通信フォト)
興味がない自分が「万博に行ってきた!」という話にどう反応するか
NEWSポストセブン
過去の大谷翔平のバッティングデータを分析(時事通信フォト)
《ホームランは出ているけど…》大谷翔平のバッティングデータから浮かび上がる不安要素 「打球速度の減速」は“長尺バット”の影響か
週刊ポスト
16日の早朝に処分保留で釈放された広末涼子
《逮捕に感謝の声も出る》広末涼子は看護師に“蹴り”などの暴力 いま医療現場で増えている「ペイハラ」の深刻実態「酒飲んで大暴れ」「治療費踏み倒し」も
NEWSポストセブン
初めて沖縄を訪問される愛子さま(2025年3月、神奈川・横浜市。撮影/JMPA)
【愛子さま、6月に初めての沖縄訪問】両陛下と宿泊を伴う公務での地方訪問は初 上皇ご夫妻が大事にされた“沖縄へ寄り添う姿勢”を令和に継承 
女性セブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で天皇皇后両陛下を出迎えた女優の藤原紀香(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
《天皇皇后両陛下を出迎え》藤原紀香、万博での白ワイドパンツ&着物スタイルで見せた「梨園の妻」としての凜とした姿 
NEWSポストセブン
“極度の肥満”であるマイケル・タンジ死刑囚のが執行された(米フロリダ州矯正局HPより)
《肥満を理由に死刑執行停止を要求》「骨付き豚肉、ベーコン、アイス…」ついに執行されたマイケル・タンジ死刑囚の“最期の晩餐”と“今際のことば”【米国で進む執行】
NEWSポストセブン
何が彼女を変えてしまったのか(Getty Images)
【広末涼子の歯車を狂わせた“芸能界の欲”】心身ともに疲弊した早大進学騒動、本来の自分ではなかった優等生イメージ、26年連れ添った事務所との別れ…広末ひとりの問題だったのか
週刊ポスト
2023年1月に放送スタートした「ぽかぽか」(オフィシャルサイトより)
フジテレビ『ぽかぽか』人気アイドルの大阪万博ライブが「開催中止」 番組で毎日特集していたのに…“まさか”の事態に現場はショック
NEWSポストセブン