神奈川県厚木市で幼い姉弟が車内に放置され、熱中症で死亡した事件。逮捕された無職・長沢麗奈容疑者(21)の男性関係や、子どもたちを乗せていた車についても新たな事実がわかってきた──。
7月29日午後4時50分頃、長沢容疑者は「子どもふたりがぐったりしている」と119番通報し、救急隊員が駆けつけたが、1歳の長男は搬送先の病院でまもなく死亡が確認された。その後、治療中だった2歳の長女も8月2日朝に亡くなった。保護責任者遺棄の疑いで逮捕された長沢容疑者は当初、「子どもたちと一緒に車内にいて、スマホを使っていた」「30分ほどエンジンを切って窓を開けていた」などと説明していたが、その後の供述で子どもたちを車内に置き去りにし、1時間ほど知人男性宅を訪問していたことが判明した。
容疑者の知人・A氏によれば、これまでも長沢容疑者はその男性と逢瀬を重ねていたようだ。
「麗奈さんは離婚が成立しています。数か月前から別の男が麗奈さんに子供が居ることを知りながらも猛アタックしていて、それに引っ張られるように彼女もたびたび、彼の家に行っていたようなんです」
独り身となり、新たな“恋”を楽しむために、幼い子どもたちを炎天下の車内に放置したのか。
事件当日は日中の最高気温が30℃を超えており、窓を締め切ったままエアコンもかけずに1時間も放置していたとすれば、車内温度の上昇は急激なものだっと予想できる。JAFの調査によれば、エアコンを作動させず窓も開けていない場合は気温35℃の場合、車内の温度は約15分で人体にとって危険なレベルに上がり、さらに放置すると車内は最高52~57℃にもなることがわかっている。
子どもたちが置き去りにされた車は、車内が決して広くはないコンパクトカーだった。さらにその車は「4ナンバー」で、長沢容疑者の所有車ではなく、知人から借りていたものだということがわかった。前出のA氏が証言する。
「4ナンバーは主に物の運搬に使われる小型貨物車で、今回の車も後部座席はありません。子ども2人分のチャイルドシートを取り付けることはできないので、ただでさえ暑い車内で、柔らかいシートですらなく鉄板のように熱くなる荷台に居た可能性があるんです。50℃は超えていたでしょう。そんな状況を想像すると、胸が痛くて……」
現場に駆けつけた消防隊員は、毎日新聞の取材に対し、「2人の体は(生身の人としては)これまで触ったことがないほど熱くなっていた」とも語っている。
炎天下、狭い車内に置き去りにされ、もだえ苦しんだであろう子どもたちの姿を、恋に身を焦がしていた母は想像できなかったのだろうか。