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北朝鮮で脱北者家族への締め付け強化 辺境部に強制移住も

脱北を企てる人々が多くなっていることが金政権の頭痛の種に

脱北を企てる人々が多くなっていることも金政権の頭痛の種に

 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は、国外に脱出し韓国に住んでいる脱北者は「裏切者」であり、脱北者から送金してもらっている北朝鮮在住の家族について「裏切者の操り人形」と批判した。そのうえで、家族をより厳しく罰するようにせよとの指令を出し、その30家族を人里離れた山間部の辺境地帯に移住させたことが明らかになった。

 北朝鮮では新型コロナウイルスの感染拡大により、国境を閉鎖したことで、経済活動が停滞し、市民は困窮した生活を余儀なくされ、脱北を企てる者も多いことから、今回の「脱北家族」への措置は国民への見せしめとみられている。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。

 金正恩総書記は6月初旬、5日間連続で、党の幹部を集めた特別講座を開催し自ら講演。そのなかで、「脱北者は絶対に許すことのできない祖国への裏切り者だ。必ず罰せなければならない」と糾弾したうえで、「その家族も同罪だ。裏切者から金をもらって生活している」などと激しく批判した。

 北朝鮮ではこれまで3万3000人以上の市民が脱北して韓国に移住。また、中国にも数十万人の脱北者が暮らしている。これらの家族は脱北者からの送金で、それなりの生活をしており、一般市民との格差が拡大していることから、脱北を企てる人々が多くなっており、金政権の頭痛の種となっている。

 このため、金氏は、脱北者家族の移送を命令。まず、第1弾として、北朝鮮北部の中国との国境沿いに位置する両江道の脱北家族30世帯の市民がトラックの荷台に乗せられて、いずこかに向かったという。

 これらの人々のなかには孫2人が脱北した70代の夫婦や、息子と娘が逃げて取り残された親夫婦、両親が韓国に逃げて残された3人の子供たちも含まれている。彼らは最低限の調理器具を持つことしか許されなかったという。

 今後、第2弾、第3弾の脱北家族の追放が行われるとみられる。

 韓国統一省の統計によると、2002年以降、毎年少なくとも北朝鮮の脱北者1000人以上が韓国に入っており、2009年には2900人以上とピークに達した。しかし、その後の金正恩指導部発足後、脱北者は激減、2019年に1000人強まで減少し、2020年に韓国へ渡った脱北者はわずか229人、2021年は63人、2022年3月までは11人。2020年以降の急減の原因は新型コロナウイルスの感染拡大で国境警備が強化されたためとみられる。

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