新型コロナの「第7波」襲来で、連日、感染者数が最多を更新すると同時に医療機関が逼迫している。そんな時に頼りになるのが「かかりつけ医」だが、どうやって良い医者を探せば良いのか──。千葉在住で主婦の北見幸恵さん(60才・仮名)は、こんな疑問を語る。
「最寄りの駅前クリニックは小規模なところばかり。正直、必要な検査器具も揃ってないだろうし、重い病気に対応できるかどうか不安です」
そうした心配を解消するのが「他病院との提携」だ。新潟大学名誉教授の岡田正彦さんが言う。
「クリニックのホームページに、提携・協力関係にある病院が明記されているかもポイントです。専門的な検査や治療が必要な場合、すぐ総合病院を紹介してくれるので安心です」(岡田さん)
中規模以上の病院の場合、「院長」の顔が見えるかどうかもカギとなる。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが言う。
「代表者である院長が自分の顔を出して診療にあたる病院は、責任を持って医療に取り組んでいます。医療行為は患者が望まない結果を招くこともあり、医師の説明や能力が問われる。トップの顔が見えない病院は、不測の事態が生じた場合に医師の説明責任が果たされるか不透明です」(室井さん)
ちなみにいまの時代、ホームページのない医療機関は「要警戒」だ。ティーズ内科クリニック院長の土山智也さんが言う。
「医師はホームページを通じて自らの理念や略歴をアピールし、患者を安心させようとします。院長が高齢でインターネットが苦手な場合は別ですが、懇切丁寧な説明をする努力を惜しむ病院はおすすめできません」(土山さん)
候補を見つけたら、実際に電話をかけてみる。
「受診前に電話をしてスタッフの対応を確認します。ホームページがなくても、機械的ではなく丁寧で詳しい対応をする医療機関は、院長が患者本位で物事を考えて、しっかりとした診療を行う可能性が高いです」(土山さん)
かかりつけ医といえば、クリニックや中小の病院を思い浮かべる人が多いだろうが、「大病院」も選択肢になる。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広さんが言う。
「合併症など複数の疾患がある場合、診療科の多い大学病院や総合病院の方が総合的な治療を受けられます。規模の大きい病院は非常時に他科の医師の診療を速やかに受けられるメリットもあります」
大病院のなかには「総合診療科」を持っている病院もある。そこでは受診科がわかりづらい症状の診療や、複数の健康問題を抱えている患者を総合的に診療し、専門各科へ紹介してくれる。どの科にかかればいいかわからない人は、そこを訪れるのもいいだろう。