羽生結弦(27才)がプロ転向を表明した約3週間後の8月10日。“聖地”アイスリンク仙台(宮城県仙台市)で報道陣の取材に対し、彼は珍しく表情を曇らせた。
「とりあえず練習拠点としてはここがメインなのかなと思っています。ただ、実際に練習のときに来られてしまったりとかすると、施設のかたがたにご迷惑をかけてしまうので、それだけはちょっとご協力お願いしたいなと思うんですけど。これからもここで練習したいなって思いますし」
それはファンへの異例の訴えだった──。7月19日、プロ転向を表明した羽生。8月7日にYouTubeチャンネル「HANYU YUZURU」を開設すると、チャンネル登録者数は瞬く間に65万人ほど(8月16日現在)に達した。
「羽生さんは、これまで公式のSNSアカウントを持っていませんでした。また、練習は非公開で行うことが多かった。つまり、試合やアイスショー以外での彼の姿は、ベールに包まれていたといっていいのです。それが一転、本人によるYouTube配信となれば、興味を持つのは日本のみならず海外のファンも同じです。レア感から、コアなファン以外にも登録者が広がりました」(スポーツ紙記者)
8月10日の正午には、2時間にわたって練習風景を生配信。配信開始直後から視聴者数は6万人にのぼり、羽生がリンクに降り立つ頃には、ゆうに10万人を突破。コメント欄には日本語のほか、英語、中国語、ロシア語などの投稿も目立った。平日の昼間にもかかわらず、これだけの視聴者を集めたことが、羽生人気の高さを物語っている。
だが、実はその裏で、あるトラブルが起きていた。発端は、公開練習の生配信会場をマネジメント事務所が事前に発表したことだった。
「当日、会場に入る許可を得ていたのは新聞・テレビなどのメディアに限られていました。ところが一部のファンが“一目ユヅに会いたい”と会場に詰めかけてしまった。さらにそのファンに取材する新聞社もあり、現場は大混乱に陥りました。結局、羽生さんが自ら注意喚起をする事態にまで発展しました。彼にとっても想定外の事態だったでしょう」(前出・スポーツ紙記者)
そもそも羽生ファンといえば“マナー重視”で知られる。
「出待ちなんて論外ですよ。ユヅくんに迷惑をかけないように細心の注意を払うのが、ファンの間では暗黙の了解です」(40代女性ファン)