週刊ポスト2022年8月19・26日号では、測量学の世界的権威である村井俊治・東大名誉教授が会長を務める地震科学探査機構(JESEA)に、世界一の研究機関・中国科学院出身の郭広猛博士が加入したことを伝えた。
強力な研究パートナーを得て、より精度を高めている「MEGA地震予測」が今、警戒を促している地域がある──。
8月11日、北海道で最大震度5強の宗谷地方北部地震が起きた。村井氏が語る。
「今年初めから震度5弱以上の地震が全国で相次ぎましたが、6月下旬以降の6週間は震度4の地震が4回あっただけで静穏状態でした。経験則から、今後は北海道だけではなく、各地で大きな地震が起きる可能性があります」(以下、「」内は村井氏)
MEGA地震予測は、国土地理院が全国約1300か所に設置した電子基準点のGPSデータを使って地表の動きを捉え、基準点の1週間ごとの上下動の「異常変動」、長期的な上下動の「隆起・沈降」、東西南北の動きの「水平方向の動き」という3つの主な指標を総合的に分析し、地震を予測している。
さらに村井氏と郭博士は、その予測法に衛星画像の解析などを組み合わせて「ピンポイント予測」を開発。昨年から実用化し、より地震発生の切迫度が高い時に限って、時期や場所、規模を明示し、警告を発している。
JESEAのメールマガジン「週刊MEGA地震予測」は、最新の8月10日配信号で、以下の「ピンポイント予測」を新規で発出した。
〈東北地方〉
〈9月7日まで〉
〈M6.0±0.5〉
再び東北地方に大地震発生のリスクが迫っているというのである。以下、最新の予測結果を詳しく見ていく。
東北警戒ゾーン
7月上旬に福島県の電子基準点「二本松」で9.61cm、6月下旬に秋田県の基準点「鳥海」で7.03cmと、大きな「異常変動」が見られた。
「8月中旬に衛星画像の解析などで地震の前兆と思われる異常を観測しました。『隆起・沈降』では、太平洋側が隆起する一方、日本海側、とくに山形県で依然広い範囲が沈降し、その境目である奥羽山脈周辺に歪みが溜まっていると考えられます。
7月上旬から中旬には宮城県の牡鹿半島と岩手県の大船渡で周囲と異なる大きな『水平方向の動き』が見られました。東北は、最新のAIによる危険度判定でも全国1位となっています」
北信越警戒ゾーン
8月14日に最大震度3の地震が石川県能登地方で起きているが、引き続き警戒が必要だという。
「『異常変動』が長野、富山、石川、福井、岐阜の5県に集中しています。『隆起・沈降』では、能登半島の先端の基準点『珠洲』が急激に隆起し続けており、その周辺に歪みが溜まっている。最新のAIの危険度判定は全国2位です」
そのほか、危険度3位「中国」と同4位「首都圏」、同5位「九州南部」の警戒ゾーンは、上の全国MAPに示した。
地震列島・日本に住む以上、警戒は怠れない。
※週刊ポスト2022年9月2日号