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吉田拓郎ファンの柴門ふみ氏「今でも行き詰まった時に聴いている」名曲の人生訓

漫画家の柴門ふみ氏が、吉田拓郎の思い出の曲を振り返る

漫画家の柴門ふみ氏が、吉田拓郎の思い出の曲を振り返る

 歌手の吉田拓郎(76才)が7月21日、音楽バラエティー番組『LOVE LOVE あいしてる 最終回・吉田拓郎卒業SP』に出演。すでに年内いっぱいで音楽活動を引退する意向を示した彼が、“最後のテレビ出演”を果たした。これまで数多くの名曲を発表してきた拓郎。中学生の頃から彼のファンだという漫画家の柴門ふみ氏が、思い出の1曲について語る。

 * * *
 私が今でも人生の応援歌として聴き続けているのが、『今日までそして明日から』です。初期の代表曲で、定番といえる一曲ですが、それまでのフォークソングとは違って絵空事ではないリアリティのある歌詞に、私たち若者の心はストレートに鷲掴みにされました。

 フォークソングがブームだった70年代に、拓郎さんはまるで太陽のように颯爽と現われました。当時私は中学生でしたから、顔が童顔でかわいらしいのも魅力でした(笑)。コンサートでは曲を聴くより、生の拓郎に会える興奮の方が強かったのを覚えています。拓郎さんが裾の広がったジーンズを穿けば真似してみたり、デビューの頃からずっと影響を受けてきました。

 拓郎さんの歌の魅力は、好きな女の子に正面からぶつかり、悩んで、弱い一面をさらけ出すという、正直な歌詞の世界観。例えば『リンゴ』の歌詞は、リアルな青春が私小説的に描かれています。

『今日までそして明日から』は、今日まで生きてみたけれど結局、人生は分からない、という内容の歌で、でも、「わからないまま生きて行く」と歌っています。一見投げやりのように聴こえますが、これも拓郎さんなりのリアリティある結論なんだと受け止めています。

 今でも何か行き詰まった時にこの曲を聴いているのは、拓郎さんの教えてくれた人生訓が、今の私の心の中にもしっかり響いているからだと思っています。

【プロフィール】
柴門ふみ(さいもん・ふみ)/1957年生まれ、徳島県出身。1979年に漫画家デビュー。代表作にドラマ化されてトレンディドラマの代名詞ともなった『東京ラブストーリー』などがある。最新作『薔薇村へようこそ』第1集が発売中。

取材・文/小野雅彦

※週刊ポスト2022年9月2日号

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