異色コンビの誕生だ。史上初めてジュニアゴルフ世界4大メジャーを制覇した天才少女として知られる11歳の須藤弥勒。そのコーチにプロ23勝の横峯さくらの父・良郎氏(62)が起用されたのだ。
もともと、1歳からゴルフを始めた須藤の“師匠”は、元東大教授の父・慶一さんだった。
「娘のために茨城に引っ越し、ゴルフ場に勤務するようになった慶一さんの指導で、世界メジャーを次々と制した。12の企業・団体とスポンサー契約を結ぶ超注目選手だが、7月の世界ジュニアゴルフ選手権(9、10歳の部)では首位と17打差の17位と惨敗。そこで新コーチに指名されたのが“さくらパパ”こと良郎氏だった」(スポーツ紙記者)
娘のプロデビュー後もキャディを務め、キャンピングカーで会場を転戦するなど、“二人三脚”でトッププロを育てた良郎氏だが、どういった経緯でのコーチ就任なのか。8月13日に須藤に初レッスンした良郎氏が明かす。
「お父さんから依頼の電話が掛かってきたんです。お父さんは東大卒で完璧主義。自分はゴルフができないが、理論と分析で弥勒ちゃんを育ててきた。ところが、220ヤード飛んでいたドライバーが突然150ヤードになってしまった。イップスだったんだよね。イップスは理論だけでは理解できない。考えた結果、ゼロから一流に育てたのは宮里藍ちゃんの父・優さんとさくらのオヤジのオレだけだとなったそうです。それでオファーがきた」
良郎氏は自分が娘を見てきた経験も踏まえアドバイスしているという。
「多くのプロがイップスで悩んできた。向き合うプロは強くなるが、向き合わないと長く引きずる。弥勒ちゃんに“さくらはプロになった後のQTでイップスになった。それと向き合わないから今も上りのパットが打てない。弥勒ちゃんは11歳で出会ってよかったよ”と言ったら、笑顔で受け入れた。凄いと思ったね」
今後の課題のひとつは「飛距離」だという。
「今はジュニアだからそれほど求められないが、今後は必要です。正確さはあるので、飛ばせる練習メニューを提案していこうと思う。すごく素直で、頭がいい。プロは頭のいい子しか成功できない。さくらを超えると思うよ。11歳の頃のさくらの10倍は練習している」
そう笑顔で語った良郎氏。天才少女がさらに豪快なスイングを身につけることになるのか。
※週刊ポスト2022年9月2日号