アジアでは最長、世界でも3番目に長い川である揚子江(長江)の中・下流地域ではこの1カ月間、連日40℃を超える暑さに見舞われており、川の水が干上がって、平均水位が約6mも低くなり、水位が17.54mまで下がっていることが分かった。これは1865年に揚子江の水位の測定を開始して以来、最低だという。中国科学技術日報などが報じた。
中国農業省長江水資源委員会によると、揚子江流域の7月の降雨量は平年より約30%減少し、8月もこれまでで60%少ない状態だという。
これに伴い、流域の多くの地区が干ばつに見舞われ、安徽省、江西省、湖北省、湖南省、重慶市、四川省で干ばつの影響を受けた総面積は64万4667haに達している。
とくに、中国の穀倉地帯である安徽省の省都、合肥市では、8月11日までに干ばつの影響を受けた作物の面積は2万1987haで、安徽省全体では15万haに及んでいる。江西省でも12万3000haとなっている。
揚子江は、西はチベット高原から東シナ海の上海近くまで6300kmにわたって流れており、この地域には中国の人口の約3分の1が住んでいることから、干ばつの被害が大きくなれば、影響は甚大だ。
また、揚子江流域は中国の主要な穀物生産地であり、米の総量の3分の2以上を含む中国の作物生産量の半分近くを生産しているが、このままでは深刻な食糧不足に陥る恐れもあるという。
このため、中国政府は25の緊急対策チームを揚子江流域の主要地区に派遣。これら6省市の被害レベルを最も高い5に次ぐ4として、三峡ダムを含む51の主要な貯水施設の水を確保するため準備に入っている。
熱波は8月一杯続きそうで、緊急対策チームは水田の灌漑のために、人工降雨ロケット弾の使用も検討しているという。