世界各国で体温を超える暑さが続いている。進行する地球温暖化。世界中でさまざまな影響が出ている。
今夏、強烈な「熱波」が欧州を直撃。水不足や山火事、農作物の成長不足など深刻な事態を引き起こしている。フランスのボルヌ首相は、「(今夏の干ばつは)国内で記録されているうち、最も深刻な干ばつだ。エネルギー生産や公共交通、農業に多大な悪影響が予想される」と述べ、危機対策本部を設置。本土96県のうち93県が何らかの形で水の利用を制限している。
信じがたい例もある。2010年代後半から、エベレストの雪が溶け始め、遭難者の遺体が露出するようになっているというのだ。中には非常に保存状態がよく、何十年も前に亡くなった人たちの凍結した顔が露わになっているものもあるという。
グリーンランドの氷床が広範囲にわたってものすごいスピードで溶け始めていると伝えられており、なんと3日間で180億トンの氷が融解して北大西洋に流れ出た。これは海面上昇につながり、インド洋に浮かぶモルディブやポリネシア最西端の島国ツバルは水没により国家存亡の危機に瀕している。
実際、海面上昇と地盤沈下の影響で、インドネシアは首都をジャカルタから別の場所に移転することを決めた。1950年までにジャカルタ北部の95%が海に沈むという試算も出ているが、現在すでに、ジャカルタの40%は海面よりも低い位置にあるとされる。そのため、カリマンタン島(ボルネオ島)東部に首都を移転し、新首都名を「ヌサンタラ」にすると発表している。
これらの例をみても、世界で異変が起きているのは確実だ。地球温暖化研究の世界的権威であるポツダム気候影響研究所所長のヨハン・ロックストローム博士は「ホットハウス・アース理論」を唱える。その理論とは、産業革命前と比較して地球の平均気温が「+1.5℃」を超え、それ以上に上がると温暖化が連鎖的に起き、後戻りできない状況になるというもの。
温暖化が進むとシベリアなどの永久凍土が溶け、二酸化炭素の25倍の温室効果を持つメタンガスが大量放出される。アマゾン川流域の熱帯雨林が失われれば、蓄えられていた二酸化炭素が一気に大気中へ放出される。そうなれば、いくら二酸化炭素の排出を減らしても温暖化は加速度的に進み、わずか数百年で「+4℃」というきわめて危険なレベルに到達してしまう──。
しかも、その危険には早ければ2030年に到達するとされ、海面が上昇したり、猛暑により人が住めない土地が多く出現するのだ。
※女性セブン2022年9月1日号