東京都渋谷区の路上で8月20日夜に母親とその19歳の娘が刃物で刺された事件。殺人未遂容疑で現行犯逮捕された少女は、埼玉県戸田市に住む市立中学3年の生徒(15)だった。少女は容疑を認め、「死刑になりたいと思い、たまたま見つけた2人を刺した。自分の母親と弟を殺す予行練習をしようと思った」などと供述しているという。
事件が起きたのは、京王井の頭線神泉駅近く。商店や飲食店が立ち並び、若者向けの洒落た飲み屋も多い。駅周辺にはタワーマンションが建っていて、家族連れも多く生活しているという。大手紙社会部記者が語る。
「少女が被害者母娘を刺したのは、1997年に東電OL殺人事件が起きた現場アパートの隣の路地でした。防犯カメラの映像では、神泉駅に向かう母娘を後ろからつけていた少女が、この場所に差しかかった瞬間に突然、2人を襲ったとされています」
少女は母娘の背中や腹などを刃渡り約8.5センチの包丁で刺した。娘の背中の刺し傷は深さ約10センチに達し、母親は両肩や腹、背中の4か所を切られていたという。少女はその場で母親と近くの飲食店従業員の男性に取り押さえられ、駆け付けた警官に身柄を引き渡された。少女が連行される様子を目撃したという現場近くの居酒屋店主はこう話す。
「救急車やパトカーが来て、何事かと外に出たらパトカーに女の子が乗せられていくところでした。女の子は白いロンTのようなものを着ていましたが、肩のところにべっとりと血がついていていた。パッと見たときに肩についた血が目に入ってきて、その他はとくに印象に残らないくらいの『普通の子』という感じでしたね」
前出・大手紙社会部記者はこう言う。
「犯行当時、少女は靴を履いておらず、靴下のみだったそうです。母子家庭で育ち、家族は母親と弟が1人。中1から不登校だったと言われており、家庭に不満を持っていたのではないかともみられています」
事件を受け、少女が通う中学校がある埼玉県・戸田市の教育委員会が記者会見を開き、戸ヶ崎勤教育長は「大変重く受け止めている。こうした事件を防ぐ手立てはなかったのか、原因究明に努めたい」と述べた。
もうすぐ新学期を迎える。子供たちの心のケアも必要になるだろう。