ついに北条家の最大のライバルである比企一族が滅亡させられ、物語はクライマックスに突入しようとしているNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』。ますます熾烈な権力闘争を楽しむために、後半戦に残された「謎」を専門家が解説する。
「義時の最期」はどう描かれるのか
承久の乱から3年後の1224年、義時(小栗旬)は突然この世を去った。鎌倉時代に詳しい歴史学者の細川重男氏が解説する。
「『吾妻鏡』によると義時はある日急に具合が悪くなり、危篤状態に陥って急死します」
義時の死は謎に包まれており、義時の第3の妻のえ(菊地凛子)による毒殺説も唱えられる。
「『明月記』によると、当時お尋ね者だったある僧侶が京都で捕まった際、『伊賀の方(のえ)が義時を殺した毒で俺を殺せ!』と叫んだ。それを聞いて京都に赴任していた泰時(坂口健太郎)の長男・時氏が驚いたと記されています。この暗殺説が事実ならば、のえは泰時ではなく、実子である政村を執権にするには義時が邪魔と考えたのかもしれません。ただし、死亡時の義時は当時としては高齢の62歳だったため、老衰で死んだと考えるのが妥当です」(同前)
ペリー氏は義時の死に様に期待を寄せる。
「権謀渦巻く世界を生き抜くためにダークサイドに墜ち、多くの業を背負った義時に安らかなハッピーエンドは許されず、陰謀や呪いの匂いがするドロドロな終わりを迎えてほしい。ミステリアスな菊地凛子さんがのえを演じることからも、毒殺エンドは十分あり得ます。脚本の三谷幸喜さんはミステリーの名手なので、義時の最期がどう描かれるか興味が尽きません」
史実をも凌駕する劇的な権力闘争を描いてきた『鎌倉殿の13人』はどのような結末を迎えるのか。
※週刊ポスト2022年9月2日号