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漫画家・一条ゆかりさんインタビュー【第3回】「人生の後半をどう管理しようか妄想中」

一条ゆかりさんの思いとは

一条ゆかりさんの「人生の後半」に対する思いとは(C)山田英博

 2018年に漫画家デビュー50周年を迎えた一条ゆかりさん。彼女の長年の経験と、鋭い洞察力から生み出された至極の言葉を集めたエッセイ集『不倫、それは峠の茶屋に似ている たるんだ心に一喝!! 一条ゆかりの金言集』が発売直後に重版となり、話題を呼んでいる。小学生時代に漫画を描き始めてからいまなお名作を生み出し続けているレジェンドの、素顔に迫るインタビュー。【全3回の3回目。第1回から読む

幸せは自分で決めるのか 他人が決めるのか

 漫画を描き始めたのは小学生のとき。卒業文集には「将来の夢は漫画家になること」と書いたという。

「でも当時、漫画はいまほど市民権を得ていなかったので、母からは『漫画なんか描いて』と咎められていました。母から文句を言われずに漫画を描くためには、役に立つよい子になろうと決めて家事も手伝い、成績もある程度キープしていました。

 とにかく早く独立して、好きなだけ漫画を描きたいと願っていました」

 人並み外れた漫画愛と類まれなる才能を備え、18才で漫画家デビュー。次々とヒット作品を生み出し、一気にスターダムへ。とはいえ、華やかな経歴の裏で、人知れず苦悩を抱えていた時期もあったのだろうか? そう尋ねると、

「締め切りに追われてもだえ苦しむなんて日常茶飯事でしたが、想像していた漫画家生活だったので、大変でも逃げたいとは思いませんでしたね。『一条さんが考える幸せとは?』って、昔インタビューで聞かれたんですが、そのとき、『自分の好きなことに才能があることです』と答えました。

 いまでもなんて見事な回答だと自画自賛したいです。本当に、私、漫画に才能があってよかった。幸せな奴だなと思います」

 50代になって始めた最後の連載が、史緒(しお)と萌(もえ)という生まれ育った環境も性格も真逆な二人が出会い、オペラの世界で切磋琢磨していく様子を描いた『プライド』だった。

「二人が夢に向かって成長していく姿を描きながら、いままであまり考えなかったファンのことを考えるようになりました。

 最後の連載、いままでは自分のために描いてきたけれど、最後くらいお礼を込めて何かの役に立つように描きたいな、と。

 夢のため、人生で悩んだとき、この漫画が慰めになったり、前に進む手助けになったらいいなと思って。

 私の作品のテーマはいつも『女性の自立』なので、つらくても大変でも、自立に向かってもがいてほしいという思いで描きました。

 私は菜都子ママにいちばんシンパシーを感じるので、伝えたい言葉はママを使いました。あっ、でもベティとルディの生き様も好きですね」

 史緒と萌に影響を与える菜都子ママの言葉の数々が胸に響く、心に刺さる。

「いつも思っていたのですが、世の女性の幸せ感は二通りだなと。納得する自分になれないと幸せに思えない、自己評価で決める史緒と、他者評価で幸せになる萌、この2タイプですね。

 両方あれば言うことなしだけど、たいていの人はどちらかに偏っています。

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