ヤクルトで決まりと思われていたセ・リーグの優勝争いが、予断を許さない状況になってきた。DeNAが8月16日の巨人戦から7連勝で、2015年5月以来となる貯金2ケタに。最大17.5ゲーム差をつけられていた首位・ヤクルトに4ゲーム差と迫っている(8月23日現在。記録は以下同じ)。
DeNA絶好調の要因はどこにあるのか。「三浦大輔監督の采配が変わった」と指摘する声もある。野球担当記者が話す。
「最近の三浦監督の采配には目を見張るものがあります。昨年はオーソドックスな采配で戦っていた印象でしたが、今は決断すべきところで潔く決断している。8月17日の巨人戦では3点リードを許した5回裏にチャンスを迎えると、切り札オースティンを代打に送った。昨年なら『まだ早い』と出し惜しみ、それ以降にチャンスがなく、試合に負けるパターンだったでしょう。ここでオースティンを使ったことで、チーム全体に攻める姿勢が生まれた。結果は三振でしたが、この回に追いつけた。
しかも、1点差に迫った直後に巨人も全く予想していなかったセーフティースクイズで同点にした。この日は三浦監督の采配で勝ったと言っていい。23日の阪神戦では苦手のサイドスロー青柳晃洋対策として左打者7人を並べて攻略した。不動のレギュラーである3割打者の宮崎敏郎をスタメンから外す“聖域なき采配”で勝利を呼び込んだ。最近の正捕手と定着している嶺井博希に代わって起用した左の戸柱恭孝が2安打を放つなど、采配が的中しました」(以下同)
投手陣に対するケアも見逃せない。8月20日の広島戦では共にチーム最多登板で防御率1点台の伊勢大夢、エスコバーを休養させた。試合は中継ぎ陣が打たれて、4点リードから同点に追いつかれたものの、勝ち越しを許さず、8回に代打・伊藤光が決勝タイムリーを放ち、本拠地での連勝を17に伸ばした。
「過密日程になる9月を見越してだと思いますが、三浦監督は焦ることなく、きちんと休養日を与えている。今のチーム状態を考えれば、できるだけ良い投手に登板してもらって、チームの勢いを落としたくないところだが、長い目で見て我慢している。
この日は平田真吾が回途中で出てきて2点を失いましたが、回の最後まで投げ切らせ、リードを保った状態で後ろに繋いだ。少し打たれたからと代えるのではなく、一定の役割、責任を与えることで中継ぎ陣の成績が伸びていると思います。翌日の日曜は休養明けの2人が登板し、無失点で完封リレーに貢献した。好循環が生まれています」