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森英恵さん、雅子さまのウエディングドレス制作の秘話 お忍びで4、5回の仮縫い

雅子さまは衣装の件で森英恵さんと4~5回打合せしていたという(写真/共同通信社)

雅子さまは衣装の件で森英恵さんと4~5回打合せしていたという

《長い間この仕事をやっておりますけど、自分の一生の中でそう度々あることではございませんから、光栄にとてもうれしく存じております》(1993年6月24日号『女性セブン』以下《》内同)

 かつて『女性セブン』にそう明かしていたファッションデザイナーの森英恵さんが8月11日に亡くなった。96才だった。日本航空の客室乗務員の制服やバルセロナオリンピック(1992年)の日本選手団のユニフォームなど、時代を象徴するデザインを積み重ねてきた森さんが「光栄」と振り返った仕事は、1993年、皇室に嫁いだ日に雅子さまが身につけられたローブデコルテのデザインだった。

 ローブデコルテとは「夜会服」を意味し、皇室では洋装での第一礼装に位置づけられる。雅子さまが初めて袖を通された一着は、ウエディングドレスでもあった。

 1993年2月、森さんは、上皇后・美智子さま(当時は皇后)からオーダーを受けてデザインに着手。すでに森さんは皇室関連の数々の仕事を手がけており、上皇さまの担当だったこともあった。それでも、皇太子妃のローブデコルテのデザインとなると格別な思いがあった。

 一般の結納にあたる「納采の儀」で天皇家から雅子さまのご実家に贈られたシルクジャカードの生地を目の前に何枚かのデザイン画を用意した。最終的には雅子さまに選んでいただいたという。その大仕事は、トップシークレットで進められた。限られた者しか入れない鍵のかかる森さんのアトリエには、雅子さまも仮縫いのため、密かに足を運ばれたという。

《お母さまが運転なさる車に乗られて(こちらへ)お出かけくださいました。雅子さまはお会いする度にますますお幸せそうになられるのが(私としても)とてもうれしく存じました》

 お忍びでの仮縫いは4~5回にも及び、その度、森さんは雅子さまのある変化に気づいた。

《(体の線が)だんだんほっそりあそばしますので仮縫いの度に、少しずつ縫い込むという感じがございましたねぇ》

 度重なる打ち合わせと丁寧な縫製によってできあがったのが、あの優雅でいてシンプルなローブデコルテだった。生地の特性を生かしながら、勲章などの装飾品と合わせるケースを想定したことで、“引き算のデザイン”が完成したと、森さんは明かしている。その分、そのローブデコルテに合わせるジャケットには雅子さまらしさを盛り込んだ。

 丈はきゅっと引き締まったウエストまで短くし、襟元には森さんが雅子さまに抱いていた《バラの花のような方》というイメージにぴったりな、バラの花びらをモチーフにした飾りをあしらった。

 ご成婚パレードでオープンカーに乗られた雅子さま。森さんが“花を生けるように”留めたというジャケットの花びら一枚一枚が祝福するようにふんわりと揺れた。森さんの計算通りだった。森さんは日本を代表するデザイナーとして、東洋と西洋の美について探究していた。

「将来の皇后であり、日本の伝統を背負うことになる雅子さまに対して、豊かな海外経験を生かしたご活躍を願っていたようです」(ファッションジャーナリスト)

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