『第104回全国高校野球選手権大会』の決勝戦で仙台育英(宮城)が下関国際(山口)を破って、東北勢初優勝を飾った。NHKの世帯視聴率は関東地区で試合前半が12.3%、後半は13.0%を記録した(ビデオリサーチ調べ・以下同)。仙台地区では前半28.7%、後半37.3%と地元ならではの応援ぶりが窺えた。キー局のスポーツ担当はこの数字をどう見るか。
「平日の14時台、15時台のNHKはほとんど1%台で、同じ時間帯では『ミヤネ屋』(日本テレビ系)がだいたい5~6%台で1位です。高校野球決勝の12.3%、13.0%という数字はかなり高いですよ。関東に東北や宮城出身の人はたくさんいますし、『白河の関』を越える初優勝が懸かっていたため、注目を集めたのでしょう」
夏の甲子園決勝の視聴率はPL学園が高知商を破って初優勝した1978年の50.8%が最高で、1980年代前半までは40%を超えることもあった(以下、視聴率はいずれもNHKの中継)。
「桑田真澄、清原和博のKKコンビのいたPL学園が強かった頃までは高かった。その後、徐々に下がって行きました。NHKの関東地区の夏の甲子園決勝の数字を挙げると、1988年の広島商対福岡第一は中国地方と九州地方の対決ということもあってか、13.9%と当時にしては低かった。翌年の帝京対仙台育英は29.7%と盛り返し、1990年の天理対沖縄水産も23.1%でしたが、以降は下降します。
1996年の松山商対熊本工は13.7%、1997年の智弁和歌山対平安は13.0%と2年連続で13%台になりました。1993年にJリーグが誕生し、野球の人気が相対的に下がっていたことも要因として考えられます」
第80回記念大会となる1998年、人気の陰りを危惧した主催者は「代表校を増やすことでファンの関心を高めたい」と大阪や神奈川などを2校代表として、47都道府県55校代表にした。この年、横浜高校の松坂大輔がノーヒット・ノーランを達成した決勝戦では27.9%と4年ぶりに20%を突破し、翌年の桐生第一対岡山理大付の決勝戦も25.2%を獲得。一時的に回復したが、2000年代になると再び視聴率は低下していった。