あの有名なサビのフレーズが、胸にキュンとくる青春ソング『想い出がいっぱい』。1983年、男性デュオ・H2Oが人気アニメ『みゆき』(フジテレビ)のエンディングテーマ曲として歌い、大ヒットした。その後、卒業ソングに採用されたり音楽の教科書に掲載されたりして幅広い世代に愛唱され続けてきたが、歌ったH2Oの2人は今、どうしているのか。2人のうちの1人、赤塩正樹さん(65)に聞いた。
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「僕は今、出身地の長野を中心に、東京と行ったり来たりしながら『AKA(エイケイエイ)プラネット』という会社を経営しています。音楽制作や英語と音楽を教えたりしています。会社の所在地は世田谷区、社員は僕1人。アルバイトを雇ったりもしますが、英語も音楽も基本は僕が直接、教えています。英語は企業に勤務する会社員にビジネス英語を、音楽はプロの卵やプロを目指している学生にボーカルやギターをレッスンしています。英語の生徒は18人ほど、音楽は40人ほどいます。通訳や翻訳も手がけています」
音楽はともかく、英語というのはどういうこと?
「僕が音楽を始めたのは、小学校5年生のときに、親戚のお兄ちゃんにビートルズを聴かせてもらったのがきっかけ。そのときに、洋楽のメロディーとともに英語の音の響きに魅了され憧れました。だから、明治大学経営学部に進み、中学の同級生だった(中沢)堅司とH2Oを結成したときも、ほとんど英語で歌詞を書いていたんですよ。
でも、アミューズとプロ契約をしてから『日本語で感動させないとダメだよ』とレコード会社に求められ日本語で書いていましたが、『いつかは世界へ出て勝負したい』という思いで英語の雑誌を読むなど勉強を続け、H2O解散後は渡米してニューヨーク大学大学院で教育と音楽を学んだのです。学びながら、現地で日本人に英語を教えてもいました」
しかし、いきなりニューヨーク大学大学院に留学するなんて、赤塩さん、インテリなんだなぁ! TOEIC990点で、英検1級、国連英検特A級、通訳案内士などの資格を持っているのだそうだ。
「当時は大学院入学に、そこまで高い英語力は求められなかったんです。それに、解散後にニューヨークに行ったのは、いきなり留学するつもりではなくて、事務所が『お疲れ様』と飛行機のチケットをくれたからで、3週間くらい旅行するつもりでした。
僕としてはまだH2Oの活動を続けたかったのにできなくなって、失意に打ちひしがれ、せめて英語をマスターして帰ってやるぞ、と思って……。ところが、3週間でマスターなんてとても無理。もっと勉強したくなり、また刺激的な街の空気にも惹かれ、滞在を延期し大学院で学ぶことにした、というわけなんです」